中小企業の事業承継の現状と課題

| コラム

日本経済を支える中小企業は、全企業の99.7%を占め、地域経済や雇用、技術・技能の維持に重要な役割を果たしています。しかし、経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しており、「事業承継」は中小企業経営における最重要課題の一つとなっています。近年では、国や自治体による支援制度の充実やM&A市場の拡大により改善の兆しも見られますが、依然として多くの企業が後継者未定のまま経営を続けており、今後も計画的な事業承継への対応が求められています。

2026年版中小企業白書では、人口減少や人手不足、物価高騰への対応に加え、「経営者の高齢化」と「事業承継」が重要な政策課題として位置付けられています。また、事業承継は単なる経営者交代ではなく、企業の成長や生産性向上につながる経営改革の機会として捉えることが重要であるとされています。特に、若い経営者へ承継した企業ほど、付加価値額の増加率が高い傾向が示されています。

 

1.最新統計から見る事業承継の現状

(1)経営者の高齢化
全国の経営者の平均年齢60.7(2024年)となり、高齢化が続いています。団塊世代の引退が進む一方、多くの企業で後継者育成が十分に進んでいない状況です。

(2)後継者不在率
帝国データバンクの2025年調査では、日本企業の後継者不在率は50.1となり、7年連続で改善し過去最低を更新しました。しかし、依然として約2社に1社が後継者未定であり、地方や小規模企業では依然として厳しい状況が続いています。

(3)承継方法の変化
従来は親族への承継が主流でしたが、近年は
① 親族内承継
② 従業員承継
③ 第三者承継(M&A)
の3つが主要な選択肢となっています。
特に第三者承継や社内昇格による承継が増加し、「親族に継がせる」だけではない時代へ移行しています。

 

2.事業承継が進まない主な理由

事業承継が円滑に進まない背景には、次のような課題があります。
① 後継者がいない
② 後継者が経営を希望しない
③ 自社株評価や相続税・贈与税への不安
④ 取引先や金融機関との関係維持への懸念
⑤ 後継者育成に時間がかかる
中小企業白書では、後継者育成には5~10年程度必要と考える企業が最も多く、計画的な準備の重要性が示されています。

 

3.国の支援制度

政府では、中小企業の円滑な事業承継を支援するため、
・事業承継・引継ぎ支援センター
・事業承継税制
・専門家派遣制度
・M&A支援
・金融支援
などを実施しています。
近年は「M&A=会社を売る」という考え方から、「従業員や取引先を守るために事業を引き継ぐ」という考え方へ変化しており、第三者承継が一般的な選択肢となっています。

 

4.今後求められる対応

事業承継を成功させるためには、
・早期の事業承継計画策定
・後継者の育成
・経営理念・技術・人脈の承継
・DXや設備投資を含めた経営改革
・専門家との連携
が不可欠です。また、事業承継を単なる「世代交代」と考えるのではなく、企業価値を高める成長戦略として取り組むことが重要です。

 

2026年現在、中小企業の事業承継は依然として重要な経営課題ですが、後継者不在率は改善傾向にあり、親族内承継だけでなく、従業員承継やM&Aによる第三者承継が広く活用されるようになっています。一方で、経営者の高齢化は続いており、多くの企業では早期の準備が求められます。事業承継には5年以上の準備期間を要するケースが多く、経営者が元気なうちから承継計画を策定し、専門家や支援機関を活用しながら計画的に進めることが、企業の持続的成長と地域経済の発展につながると考えられます。

当税理士法人では、お客様が安心して事業を次世代へ引き継ぐことができるよう、事業承継に関する総合的なサポートを行っておりますので、担当者または当税理士法人までお気軽にご連絡ください。

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