遺言と債務控除
| コラム
税務処理における誤りやすい項目について、大阪国税局が公表している「資産課税関係 誤りやすい事例 相続税関係(令和7年版)」から、今回は債務控除に関する事例をご紹介します。近年は遺言を残す方が増えているように感じます。遺言書では財産の分け方について記載されることが一般的ですが、債務の負担方法まで細かく定められているケースはそれほど多くありません。相続税では、被相続人が亡くなった時点で負っていた借入金などの債務や、一定の葬式費用について、相続財産から差し引くことができます。これを「債務控除」といいます。
今回の事例では、相続人ではない特定受遺者が、実際に被相続人の債務や葬式費用を負担したため、遺贈によって取得した財産から債務控除を行っていました。しかし、債務控除が認められるのは、相続人または包括受遺者に限られています。そのため、相続人ではない特定受遺者が現実に債務や葬式費用を負担したとしても、相続税の計算上は債務控除をすることができません(相続税法第13条第1項)。
遺言書を作成する際には、財産の承継方法だけでなく、相続税への影響まで考慮することで、より円滑な相続につながります。債務の取扱いは見落とされがちなポイントですが、相続税まで意識して遺言を残すのであれば、こうした点にも配慮しておきたいところです。