インボイス制度導入から2年の課題と効果

| コラム

消費税の仕入税額控除のための新しい制度のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が2023年10月に導入されて2年が経過します。当初に見込まれた主な効果は以下の通りです。

  • 消費税の透明性向上:誰が消費税を納めているか明確になり、課税・非課税の区別が明瞭になる。
  • 不正防止:適格請求書(インボイス)の保存が必要となるため、架空請求などの不正防止につながる。
  • 税務管理の効率化:インボイスの電子化により、会計処理や税務調査の効率が上がる。

一方で、特に中小企業や個人事業主にとって以下のような課題もあります。

  • 免税事業者の収入減少リスク
    インボイスを発行できない免税事業者は、取引先から敬遠される可能性があり、収入に影響が出ることがある。
  • 事務負担の増加
    インボイスの発行・保存・管理が義務付けられるため、特に小規模事業者には大きな事務的負担となる。
  • IT環境の整備が必要
    電子インボイス対応のためのシステム導入や、スタッフのITスキル向上が求められる。

インボイス制度の導入後すぐの段階で国税庁等が公表「消費税申告件数・納税額の変化」

指標 内容 数値・変化
申告件数
(個人事業者消費税)
制度導入直後(令和5年分)で、
個人事業者の消費税申告件数が
前年に比べてどれだけ増えたか
197万2千件
→ 前年比 +86.9%
申告納税額 個人事業者の消費税として、
申告納税された額
約 6,850億円
→ 前年から +9.1%
免税事業者から適格請求書
発行事業者へ変更した者
インボイス発行事業者に新たに
登録したもの、またその申告者数
免税事業者からの移行者は 104万8千人、うち申告者数は 87万5千人

インボイス制度開始後の最初の3年間は仕入れ税額控除に関して 80%控除(2割分を負担)の特例などが設けられており、また簡易課税・みなし仕入率等の制度も利用されていることから、完全な変化を制度が予定通り成熟するまでは観測しづらいという事情があります。今後の日本経済において、インボイス制度が果たす役割は大きいですが、まだ課題があるため特に中小事業者への支援と制度理解の促進が必要となります。

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