添付書面制度

| コラム

 添付書面制度は、税理士が税務申告書を作成する際に、その内容がどのように計算・整理され、どのような相談に基づいて作成されたかを具体的に記載した書面(税理士法第33条の2に規定する書面)を申告書に添付する制度です。

 税理士が専門家としての立場から、申告書の作成過程を明らかにし、その内容が適正であることを表明するもので、「税理士による申告書のお墨付き」とも言えるものです。これにより、申告書の信頼性が高まり、税務行政の円滑化が図られることを目的としています。

 添付書面には、主に以下の3つの事項が記載されます。

  1. 計算事項:申告書に記載された各項目の金額について、納税者から提示されたどの資料に基づいて、どのように計算したかを具体的に記載します。
  2. 整理事項:会計帳簿の作成や証憑書類の整理状況など、税理士がどのように関与し、内容を確認したかを記載します。
  3. 相談事項:納税者からどのような税務に関する相談を受け、それに対して税理士がどのように指導し、判断したかを記載します。特に、判断が分かれるような論点について、どのような見解で処理したかを示す重要な部分です。

この制度は、納税者、税理士、税務署の三者にメリットがあります。

納税者にとってのメリット

  1. 税務調査のリスク低減:添付書面により申告書の信頼性が高まるため、税務調査の対象に選ばれる可能性が大幅に低くなります。
  2. 意見聴取制度の適用:もし税務署が申告内容に疑問を持った場合でも、すぐに実地調査に入るのではなく、まず税理士に対して意見を述べる機会が与えられます(意見聴取制度)。この段階で税務署の疑問が解消されれば、実地調査は省略されます。納税者にとっては、調査対応の時間的・精神的負担が大幅に軽減されます。
  3. 加算税の免除:意見聴取の結果、申告漏れなどが判明し修正申告を行う場合、通常課される過少申告加算税が免除されます(ただし、延滞税は発生します)。

税理士・税務署にとってのメリット

  1. 税理士:専門家としての信頼性が高まり、業務の質の向上につながります。
  2. 税務署:申告内容の把握が容易になり、効率的な調査事務が可能になります。

一方で、以下のような点も考慮する必要があります。

  1. 申告準備の負担:税理士はより詳細な資料の確認やヒアリングを行うため、納税者側も資料の整理や準備に協力する必要があります。
  2. すべての税理士がこの制度に積極的に対応しているわけではありません。制度の利用を希望する場合は、対応可能かどうか事前に確認が必要です。
  3. あくまで調査のリスクを低減させるものであり、添付書面を提出すれば絶対に税務調査が行われないという保証はありません。内容が形式的であったり、重大な不正が疑われる場合は調査対象となります。

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