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第10話 日系企業のタイ進出動向

2015年02月01日 バンコク便り

動向、といっても私が見た聞いた関わった、という範囲の話である。統計的なものは公共機関の公表するデータにお任せしたい。

昨年、軍部の政権掌握により政情は安定し、行き過ぎの綱紀粛正は別にしても兎も角経済界も安定期を迎えた。その後はやはり憶測通り、再び日系企業がこの国に押し寄せている。ただし製造業に関しては出尽くした感があり、非製造業、例えばIT企業、商事会社、サービス業各種が殆どを占めている。

IT企業に対しては、タイ国投資委員会が手厚い優遇条件を維持しているため、例えば外資100%、しかも小資本(最低額100万B、現為替レートで370万円)での進出を認め、さらに外国人労働許可のハードルも下げているため、個人企業も含めかなりの進出企業数となっている。

またこれまで商事会社に対しては、ローカル企業と競合するということでほぼ優遇措置の対象外であったが、これも条件付きながら、本年より施行されている新ルールにより独資での会社設立の枠が広がった。直接投資の営業機関としての投資委員会が、製造業の進出が減少傾向な現在、他業種進出を奨励しなければという事情はよくわかる。実際奨励事業投資額の半分以上(ここ数年で云えば70~80%)が日本からの投資なのである。

サービス業に関しては、代表的な飲食業から実に多岐ににわたる業種がやって来ている。美容サロン、スポーツジム、健康食品販売、ネット販売、省エネ・コンサルタント、古典的業種の会計あるいは法律コンサルタントなど、枚挙にいとまがない。

投資委員会としても新潮流のビジネスを誘致し、「先進国並み」を目指した対応を常に心がけている。例えば上記「省エネ事業」も奨励事業カテゴリーを設定しており、エネルギー省との連携で誘致を図っている。また映像制作も同様で、最近はリモコン・ヘリのドローンを使用した空中撮影の企業もお目見えした。

ただ省エネ事業については、弊社が手続きを行っている案件について、エネルギー省も投資員会も担当官ご自身があまり新事業のビジョンについて明るくないのでは?と疑問を抱く様な対応に、少々イライラ感がつのっている。こういうことは従来も経験しており、時流に乗った新カテゴリーに於いて、例えばコールセンターやリサイクル事業などで、かなり手間取ったことがある。

しかしこの様な公務員のユルさというものは、我々手続き業務を生業とする者にとっては「彼らの癖」を理解しておけば逆にイニシアチブを握ることが容易なので、手間はかかるけれど結果は必ず出せるという有り難い状況なのだ。要するに相手の土俵に乗ったふりをしながら軌道修正をさせ、我々は申請データを相手の好みに合う様修正していけば、先方は受け入れざるを得ない、ということである。「お役人さまは神様です。私たち外国人はタイ国の為、タイ国民、タイ経済のために投資を行い、この国で一所懸命働かせていただくのが務めです」な~んていう芝居が打てれば、もう立派なコンサルタントである。
またいつもの手前味噌で締めくくることにする。