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第202話 お済ですか?インボイス制度の登録

2022年04月19日 所長の眼

来年10月1日よりインボイス制度が導入されることはすでにご存じのことと思います。実は昨年の10月より制度の実施に向け必要な登録の受付が始まっており、来年3月末までに完了しなければならないことになっています。今回はそれに関連した話題です。

消費税制度の考え方は「事業者が事業として対価を得て行われる取引」であれば消費税が課税されるというものです。該当する取引であれば、その対価に消費税額が含まれているという判断をしています。もちろん請求書や領収証の保存は必要ですが、消費税申告の際の仕入税額控除はその考え方に基づき行われます。

インボイス制度の導入後も基本的な考え方は変わらないものの事業者が購入した物や受けたサービスに付随する消費税について申告の際に仕入税額控除を受けるには、原則としてその取引について消費税額が記載された適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。ですからインボイスを受け取れない取引先に支払を行っても、含まれているはずの消費税額は原則的として仕入税額控除できない、すなわち消費税申告に伴う納税額がその分増えるということになります。自ずと事業者はインボイスを発行できない相手との取引を控えることになるでしょう。

一方で年間売上が1,000万円以下という事業者は通常は免税事業者として扱われており消費税の申告はしていないわけですが、この場合インボイス制度が始まっても免税事業者のままであれば、インボイスが発行できる「適格請求書発行事業者」としての登録はできません。先ほど説明したように事業者間の取引はインボイスの発行が欠かせないため、こうした免税事業者との取引は敬遠される可能性があります。このような理由から、免税事業者のような小規模な事業者であってもインボイスが発行できる「適格請求書発行事業者」の登録を検討せざるを得なくなるだろうといわれています。

例えば、サラリーマンのAさんは小規模なガレージを免税事業者として賃貸しているとします。その賃借人が事業者であれば来年10月以降はインボイスの発行を求められる可能性があります。取引を打切られたり値引きを要求されないためにも、Aさんはその求めに応じ、敢て課税事業者を選択し、適格請求書発行事業者として税務署に登録手続を済ませなければならなくなるかもしれません。もちろんAさんは賃貸料と一緒に受けとる消費税は申告し納税することになります。またAさんは消費税相当分をもらっていなかったのであれば、この機会にあらためて10%の消費税を上乗せすべきかどうか検討することになるでしょう。

ちなみに今年度の税制改正で登録手続きの見直しが行われ、免税事業者が来年10月1日からの制度施行後6年間は、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には任意のタイミングで適格請求書発行事業者の登録を行うことができます。

取引先の状況は予めチェックしておく必要がありそうですね。