2022年07月31日
6月30日、ミャンマー国軍の戦闘機ミグ29がタイの領空を侵犯し、察知したタイ国軍は直ちに2機のF16がスクランブルをかけた。国際法に照らし全く正しい対応をしたということで、領海侵犯され放題で「とりあえず何もしないこと」が外務省内で申し合わせ事項になっている国とは大違いだ。
英国からの独立(1948年)以来ミャンマー国内において、正式軍を備える「カレン民族同盟」(KNU)自治政府は約3万平方キロ(日本国土の12分の一、ベルギー全土と同様)の領土を支配している。人口は約160万とされている。ミャンマー政府は、他の少数民族(シャン、カチン等)の独立地域が団結せぬ様、分割した状態を意識的に維持しており、それは英国お得意の植民地統治方策を引き継いでいることになる。
2021年の軍事クーデター以降、すでに国全体では民主派側市民2,000人以上の犠牲者が出ており、現在上記KNUにカチン独立軍やアラカン軍と云った勢力が大同団結を目論み、民主派としてはこの勢力が国軍に勝利し、「国民統一政府」の連邦軍として制度化することを計画している。
しかしミャンマー国軍の勢力40万6千人(陸軍37万5千人、海軍1万6千人、空軍1万5千人)に対抗するには空軍も持たず火器も乏しい少数民族側が対抗できるのはゲリラ戦でしか無い。またタイを含む周辺国も大国の思惑に配慮しあくまで中立という立場を崩さない。
かつて民主政府の女神的存在であったアウンサン・スーチー氏は昨年12月に拘束されすでに禁固4年の判決が下され、海外からの投資を計画、あるいはすでに進出した外資系企業が「東南アジア最後の桃源郷」などと持て囃した数年間は一体何だったのだろう、という気持ちになる。
しかし何度でも繰り返すが、どう政権が変わろうが歴史が展開しようが、迫害されミャンマー国民としても受け入れられていないロヒンギャたち80万人(正確な統計は無い)は放置されたままなのである。