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第198話 電子帳簿保存法(3)~その他の電子取引~

2021年11月30日 所長の眼

電子帳簿保存法についての話題を連載させていただいておりますが、網羅的にカバーすることはできませんので、来年の1月1日よりペーパー保存が認められない「電子取引」を中心に説明させていただいております。今回がその最後になります。

それぞれの企業が「電子取引」についてその電帳法対応を考える際に最初に行うべきことは、営業所などを含め企業内にどれだけの「電子取引」が存在するのかを見極めることです。それを判断する基本的な考え方は注文書、契約書、送り状、領収証、見積書などの「取引関係書類」のいわゆる正本が紙ベースなのか電子データなのかということです。電子データであれば電子データでの保存義務があります。

まずは電子メールに着目すべきです。メールの送受信をもって取引の詳細が決まりそれが正本の役割を果たすことがありますが、注意すべきは通常電子メールのやりとりは社員一人一人にアドレスがあり個人ベースで送受信が行われています。しかしその「保存」に関しては会社が一元管理すべきでしょう。電子メールには「本文」と「添付ファイル」がありますがそのどちらも「取引情報」が記載されていれば保存の対象となるのは言うまでもありません。その場合の保存期間は10年ですからメールサーバーでの保存は要件を欠く可能性がありますので安易な判断は禁物です。対応としてはメールアーカイブソフト(サービス)の利用や、自社のサーバーに検索機能を持たせて保存することを検討しなければなりません。

また、ネット上で明細を確認し紙ベースでは書類が存在しないものも最近珍しいことではなくなりました。例えば、クレジットカードの利用明細、Suicaなどの交通系ICカードやスマホなどの決済データ、Amazonなどのネットショッピングを利用した際の領収証などは紙ベースでの書面はありません。これらを今後どのように電子保存していくか年内中に検討が終わっていなければならないことになります。その保存方法については企業規模などにより段階的にシステム化していくことになるでしょう。

とりあえず初歩的で簡便な方法としてPDFファイルなどに変換して検索可能な要件を具備したファイル名を付しファイルサーバーなどに保管しておくという方法が考えられます。小規模な企業はこれで十分かと思います。

但し「電子取引」が多い企業や、電子取引に該当しない紙書面を敢てスキャナ保存するという選択をする場合には、沢山の取引書類を電子ファイルで保存しなければならず前述のファイル名に依存する検索機能には限界が生じ、市販の「書類保存システム」の利用も視野に入れなければならなくなるでしょう。

「JIIMA認証情報リスト」というものをご存知でしょうか。国税庁のHPで確認することができますが、電子帳簿保存法に適合したソフトウェア等を対象に要件適合性(認証)を受けたものを一覧表にして公表しています。リストの中からコストや使い勝手などを調べるのは大変かと思いますが足掛かりにはなるでしょう。