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第92話 変わる街

2021年12月14日 バンコク便り

観光客も少しずつ戻り、政府の健康・安全プログラムと言っても良い、つまり感染対策を認められたSHA(シャーと呼ばれている)に登録できた飲食店では、まだ時間制限をされながらもアルコールの提供が解禁された。ただしこのプログラムの目的がタイ・ツーリズムの回復であって、TAT(タイ国観光庁)主導で進められており、感染対策の主管である健康保険省ではないことから、登録・認可は難しいものでは無いらしい。公表されているリストを確認すると飲食以外にも、宿泊施設、観光アトラクションやアクティビティ、交通機関、旅行代理店、美容やリラクゼーション施設、ショッピング施設、スポーツ関連施設、会議場や劇場・映画館等のエンターテインメント、スーベニア販売業等、観光に関連するすべての業種にわたっている。なのでこれら多くの認可施設が感染対策に万全を期しているという訳ではないだろう。

それでも街を歩けば、通り沿いは存続を断念してしまった飲食店や小売店が出て行った空き物件が非常に多く寂寥感が支配しているので、海外からの観光客ももう一つ意気上がらないらしい表情が見受けられる。この地域が都心であることには変わりないので、やがては新規開店の店舗が増えてゆくであろうが、私自身や身の回りでも、すでにフード・デリバリーやオンライン・ショッピングが定着してしまっているので、街が元通りの賑わいになるかと言えばそれは心もとない限りである。

さらに個人にとっても法人としても、オンライン・バンキングの普及が急速であることから、各法人の経理担当者が銀行に日参することもなくなり、銀行としても支店の統廃合を進めざるを得ないであろうし、さらに空き物件は増加するに違いない。それでもつい先日、パスポートを更新した時点で念のため銀行口座に登録しているデータの更新を行ったが、作成書類の多さには相変わらず閉口するものの、その内一行ではそれだけの為に複数の銀行通帳を再発行していた。個人のオンライン取引上においても稀にパスポート番号の確認が必要であることから、オンライン取引の増加→セキュリティー上の理由でデータ確認項目増加→銀行でのデータ更新機会増加→銀行で長時間を要するペーパーワーク増加、という矛盾も生じる訳で、支店統廃合の果てにはタクシーや電車に乗って手続に行き、計2時間以上も費やすなどというケースも考えられるのだ。例えば法人・個人の銀行通帳も廃止され、すべての手続がオンライン化されるのであれば、現状は過度期にあると理解できる。

果たしてこの街がどう変化してゆくのか、見ものではある。