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更新情報

第197話 電子帳簿保存法(2)~EDI取引は?~

2021年10月12日 所長の眼

経済社会のデジタル化に伴う改正後の電子帳簿保存法(電帳法)の施行が来年1月1日に迫ってきました、前回に続き「帳簿書類」の保存について説明します。

繰り返しになりますが、「帳簿書類」は、仕訳帳、総勘定元帳等の「帳簿」と決算関係書類、取引関係書類の「書類」に区分されますが、電帳法の取扱が決算関係書類と取引関係書類とで異なることを考慮すると「帳簿」、「決算関係書類」、「取引関係書類」の3区分に分けて整理することがポイントです。

今回は「取引関係書類」に分類される電子取引のデータ保存義務について説明します。

電子化を普及促進させたい思惑が背景にあると思われますが、来年1月1日以降の電子取引については書面保存ができなくなるという改正が行われており、これは例外なく個人・法人問わずすべての事業者に適用されます。そもそも電子取引とは「取引情報の授受を電磁的方式により行う取引」を言いますが、ここでいう「取引情報」とは注文書、契約書、送り状、領収証、見積書などに通常記載される事項を指しています。保存に関しては次の①~④のいずれかの措置を行わなければならないことがポイントです。

  • 送信者側のタイムスタンプ付データを送信・受信者側は検証機能が必要。
  • 取引情報の授受後、(受信者側で)約2カ月以内にタイムスタンプを付与・保存担当者情報が確認できること。
  • 訂正削除できない(又は訂正削除履歴が保存)システムでデータを授受及び保存すること。
  • 正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程を備付け・運用すること。(国税庁HPにて規程のひな型公開中)

以上のうちお薦めしたいのは事務処理規程による運用を行う④ですが、そもそも利用しているシステムが既に➂の要件をクリアしているのであれば事務処理規程は不要ということになります。ですからシステムの仕様の確認をしてください。

その他保存システムそのものの機能要件についても定められていますが、それはベンダー側の仕様が要件を満たしているかどうかの確認作業なので説明は省略します。

ところで実務的に多いと思われるEDI取引はどのように保存すべきなのでしょうか。参照すべき通達は電帳法取扱通達10-1です。一般的な理解としてですが、「オンラインでデータを読み込みにいって取引情報をいつでも画面で確認できる状況」イコール「データが保存されている」という勘違いは避けたいところです。EDIシステムを提供している事業者がデータを保存するサービスを提供している場合にはその活用を検討するか、そうしたサービスの提供がない場合にはその事業者から敢てデータをダウンロードして自ら保存するという対応が必要となるでしょう。いずれにしても保存のためのコスト負担が発生することになると思われます。