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第88話 静かな900万都市

2021年08月31日 バンコク便り

東京では日本政府の呼びかけにも関わらず繁華街の人出が増えているとのことだが、人口900万人というここバンコクは、非常事態規制も厳しいため都心の人陰は極めてまばらである。1年半の間に繰り返された営業規制により、都心の飲食店は休業ではなく殆どが廃業(ただし屋台は元々持ち帰り中心なので営業中)、ショッピングセンターやデパートもスーパーマーケット以外は営業禁止なので、出かけたところで立ち寄る先がそもそも無い。またビジネスビルも出来る限りリモートワーク推奨となり、駐車場もガラガラである。という訳で車での移動だけは快適そのもの。通常1時間と少しは見込まなければならない行き先へも、下手をすると20分で到着してしまう。私の勤務する事務所でもマネージャーと官公庁手続担当者、それに私の3名は出社、その他の社員はリモートワーク状態なので、通常は若年社員でも済む仕事まですべて引き受けているマネージャーが孤軍奮闘している。

夜間外出や県境を越える移動も禁止され、この様な厳しい規制が布かれているにも関わらずコロナウィルス感染者は加速度的に増えるばかりなのだ。急拡大のきっかけになったのは刑務所内の感染、外国人労働者の多い建築現場や市場であったが、生鮮市場はクラスターを鎮めるまでの閉鎖、刑務所は閉鎖して“召し放ち”というわけにもいかないだろう。1日の感染者15,000人(全国)超えとなれば当然身近にも迫って来る。先週には系列会社の社員1名が家庭内感染し隔離施設(ホテル)に収容され、残りの社員に私も便乗してPCR検査を受けたがとりあえず陰性を確認し、また来週末には再検査を受けることとなる。幸い隔離された社員も大した症状は出ていないので来週解放されることだろう。

報道によれば医療体制は相当逼迫しているらしく、重症化した患者がどの様な対応を受けているのか心配な日々が続いている。特に無料で診療を行っている国公立病院ではかなり混乱しているらしく、通路に置いたベッドで診療を受ける人もあると聞く。

民間保険を利用する患者中心の所謂一流病院でも、感染発覚から数日は待機させられるという噂も聞くが、私の通院している病院では全く変わった様子は見受けられない。

それでも政府は、感染者の寡少な南部のリゾート地でワクチン接種済の外国人観光客を受け入れる「サンドボックス」キャンペーンを開始し、10月には入国規制を解く考えを変えていない様だ。今朝のニュースでも、首都バンコクではすでに人口の50~60%が1回目接種を済ませたので、4~6週間後には状況が改善するという見通しを示している。普及しているアストラゼネカ社のワクチンが変異ウィルスに有効かどうかも未確認であるのに、多くの国民はアマアマな予測としか捉えていないだろう。

*その後更に感染発覚者は増加し、本日の発表ではとうとう2万人を超え、プーケットでの発覚者増加も確認されたため、今度は全島閉鎖という規制が報じられた。