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第185話 デジタル化の話題を二つ

2020年09月30日 所長の眼

新型コロナ感染症による様々な功罪があるなかで、日本の様々な分野でのデジタル化の遅れが明らかになったという話があります。これは見方を変えるとコロナ禍を機にデジタル化の促進を加速させたいという思惑の表れともいえます。あらゆるデータがデジタル化されていく中で特に会計や税務においては今まで以上にデジタル化が進むのは明らかです。今回はデジタル化をキーワードにして二つの話題をピックアップします。アナログ人間がまとめますがご容赦ください。

一つ目は、以前から予想されていたことではありますが、マイナンバーと口座の連動です。報道によれば政府は来年にも個人のマイナンバーと預貯金口座を連動させるとのことです。意外だったのは、すべてマイナンバーを口座と連動させるということは見送られるということです。口座との連動は個人の選択。推測ですが、複数の口座がある場合には連動させる口座と連動させない口座を任意に選択できるようになるのでしょうか。であれば給付金などの振込先口座の登録といった感覚で一部口座の連動を選択することができ利用の増加が見込まれます。いずれにしても詳細はこれからです。しかしこれは入り口であって、やがてはマイナンバーが個人資産の把握機能を担うようになるのは間違いないでしょう。

菅内閣がスタートし「デジタル庁」の設置が話題になっています。マイナンバーカードの普及促進はデジタル化政策の肝になりそうです。一方で、マイナンバーカードは名前がローマ字表記で登録されていないなど日本仕様であるため先々国際的に通用させる場合には限界があると聞いたことがあります。長期的な視点で万全に備えるのであればカードは世界標準の仕様であるべきです。余計なお節介ですが。

二つ目は、2023年は企業間でやりとりされる書類は紙ベースからデジタルベースへ一気に進むことになりそうだという話題です。消費税法の改正により導入されるインボイス制度は23年10月から始まります。これにあわせるかのように請求書がデジタル化される場合のデータ仕様の統一化に向けた取り組みが始まるようです。報道では「完全電子化」とありますから例外はないということになります。もともと、インボイスの消費税集計を手作業でやるなど現実的ではありませんから、請求書などのデジタル化は避けられないだろうと予測しておりましたが、政府主導で仕様が統一され、中小企業への普及にも国が関与するとなれば事務処理の効率化は一気に進むことになると思われます。

請求書などに限らず、あらゆるデータがデジタル化されるようになると、そこに人間のひと手間を加え書類を作成するような非効率的な作業はなくなるでしょうし、自ずとデータ連動による効率化が進むものと思われます。

話題が逸れますが、「2025年の崖」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?現在の企業が利用するシステムの大半がレガシー・システムとなり、新たなデジタル技術に対応できない企業は敗者になると警笛を鳴らした「DXレポート」(経産省、2018.9.30)で使われた言葉です。「デジタル化」が自社の成長にマイナス要素とならないよう備えたいものです。