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第184話 コロナ禍、今こそ資金繰り表

2020年09月13日 所長の眼

思いもよらぬコロナ禍ですが、どうやら長期戦になりそうだというのが大方の見方のようで、短期的な辛抱でビフォア・コロナの状態に戻るのではないかといった楽観的な見方はどうやら戒めなければならないようです。また、企業経営者はあらゆるリスクに備えるべきという意味においては、これを乗り越えた後のアフター・コロナ対応のシナリオもいくつか想定すべきかもしれません。こうした状況下での経営判断は容易なことではありませんが、何はともあれ情報を整理整頓し、対応策をリスト化し、優先順位に従って行動することが肝心です。

ところで、企業の財務状況を正確に把握するには事業年度単位で作成さる決算書を読み解くことが大切ですが、コロナ禍の下ではむしろ時々刻々と変化する企業状況をリアルタイムで把握し整理整頓することが肝心です。中でも「キャッシュ」の状況確認は最優先項目です。もちろん、手抜かりがないよう昨今の緊急融資や助成金を利用し取り敢えず真水を注入しておくことも大切なことではあります。それであれば尚のこと先々の「返済」を含めた「長期戦」に備え、目先の「短期戦」をぬかりなく戦わなければなりません。

あらためて「コロナ禍、今こそ資金繰り表」と強調します。

あたりまえのことですが、企業存続の成否は「キャッシュ」の有無であることは疑いの余地がありません。経営者は窮地に追い込まれるほど「キャッシュ」に敏感になるものです。ところがそのような場合でも、「資金繰り表」での管理を怠り、いわゆるおおざっぱな把握の中で漠然と不安を抱えている例が少なくないように思われます。情報の整理整頓ができていないのです。入金予想と出金予想で管理する「資金繰り表」は「整理整頓」の第一歩です。特にコロナ禍の下では、営業上の不足資金や余裕資金について、時系列での変化を把握し続けることを怠るべきではありません。例えば、営業上の資金管理の大項目を紹介すると、

  • 売掛金の回収はどうか?
  • 在庫の回転率はどうか?
  • 支払いサイトは適正か?
  • 固定費の削減がはかられているか?

などですが、「コロナ禍では売上減少がそもそもの元凶なんだから解決の糸口にはならない。」と返されそうです。しかし、もともと「キャッシュ・フロー」の管理が充分でなかった企業ほど逆境にもろいのものです。正常時における管理体制の不備がいざという時の勝敗の分け目になってしまったという後悔はしたくないものです。資金繰り表による管理をなおざりにしてはいけません。無いのであれば早速今日から作成されることをお薦めします。

この禍は今後の人々の価値観をも変えるという予測があります。であれば企業もその変化に対応せざるを得ないことになりますが、容易なことではないが故に足元を固めたうえで今後の長期戦に臨みたいものです。