TEL:0120-799-099 受付時間:8:50~17:00 お問い合わせはこちら

更新情報

第70話 ミャンマー/マンダレー・レポート

2020年02月28日 バンコク便り

年末年始休暇を利用し、隣国ミャンマーの古都マンダレーへ出向いた。首都ヤンゴンには1984年に一度、仕事絡みで2012年に3度訪れたことがある。36年前は男女問わず民族衣装の腰巻スタイルで、車は少数の年代物のアメ車が走っているだけで、東南アジアの中でも最もゆったりとした印象だった。その頃読み漁っていた写真家藤原新也の旅行記の中で、取り囲んでいる子供たちが何やら少しずつ少しずつ移動するのをいぶかしく思い、やがてそれは太陽の動きに合わせ自分に日陰を作ってくれているのだと気付いた、という件をよく覚えている。

アウンサンスーチー政権が成立し急速に経済開放が始まった2012年、日本のビジネス界で俄かにミャンマー・ブームが拡散し、ある企業の依頼でヤンゴンを再訪した頃には、空港を中心に道路が整備され(但し40~50分も走れば酷いぬかるみだったが)、急ごしらえの五つ星ホテルや日系向け高層オフィスビルが建ち、外資が流入し街を札束が舞っている状況の中、高級ホテルでは商談の花盛り、しかし電力やネットなどインフラが全く追いついていないという、新興国にありがちなアンバランスな都市だった。

今回は人口100万、第2の都市であって、19世紀末に英国に併合されるまで最後のコンバウン王朝の置かれた古都である。まあまあ新しい建物の空港に降り立ち、旅行者用のSIMカードや両替などの手続きはあっという間に済んだ。市内までの足もシェア・タクシーとチャーター・タクシーの料金がはっきりしており、非常にスムースなシステムが出来ている。各観光地も年末ということで海外国内からを問わずにぎやかであったが不快なほどでは無い。市内の交通量も人口に比して多くはなく、渋滞はなかった。

私はかつてより、インドとタイの間に位置するこの国は人も食文化も双方の混血の様に感じている。今回も観光地にたむろすタクシーやトゥクトゥクの運転手の中に、確かに旅行者に対しタイよりもインド的なアプローチをしてくるのをうっとおしく感じた。見どころの中心マンダレーヒルに登る際、片道ならいくら、往復ならいくら、と提示しながら実際降車する段になると帰路の乗車を半ば強制しようとする。こういう人に対して私は人一倍嫌悪感を感じてしまうたちなので、さっさと片道代を支払い立ち去った。他にも交渉の結果を無視して元の言い値を要求する青年もいた。最も私が神経質なだけで、この様な人種はどこの国にでもいるのかもしれない。逆に市内では東南アジアで普及しているタクシー配車アプリ「GRAB TAXI」が使えるので、こちらは代金がはっきりしているし、運転手もプロではないから至って紳士的だ。最終日に郊外の観光地で、帰路の待ち合わせをしながら会えずじまいで、往路の運賃も支払えなかった運転手は、翌日空港へ向かう際に(当然ホテル周辺で待機していたのだろうが)、すぐにアプリ上で反応し、こちらとしては前日の迷惑代も考えていたが、アプリ上の運賃以外のことは口にもしなかった。こういう好人物には多めにお礼したい、というのが人情だ。

次回は食事などについて報告させていただこうと思う。