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第68話 タイの医療産業(その3)

2020年01月20日 バンコク便り

ここのところ、思いがけず色々な健康障害に見舞われており苦慮しているのだが、今回は医師の技量不足により非常につらい思いをした。私が30年以上お世話になっているBK病院では、常に主治医であるR医師(京都大学を首席で出たというまさにトップレベルの内科医)に頼っている。ところが彼女はここ数年、日本への学会出張等が多くなり、不在のことが多くなっている。仕方がないので常駐されているT医師(同様に日本の医師免許を保持している)に診ていただくのだが、彼の見立ては甘く、効果が無いので改めてR医師が勤務する時間を確認した上で再診を受けるということが何度もあった。まあ風邪だとか食あたりだとか、素人でも診断のできる場合はまだしも、今回は原因不明の不眠症で(もちろん年齢なりに我慢できる程度の睡眠障害は常時ある)、10日ほど殆ど眠れない日が続いたのである。当然食欲も減退し、無理に事務所へは行くがほぼ仕事にならない。メールを読んでいても頭に入らない。このような状態でT医師に症状を訴えたが診断は「風邪ですね」「いいえ風邪の症状はありません」と抗弁しても半ばご立腹の様な口調で「風邪として薬を処方しますので様子を見てください」と云われそれ以上どうしようもない。おまけに一時間の点滴を受け、さらに「インフルエンザの検査をしますか」と云われたがさすがにこれはお断りした。診断を受けた時点でほぼ無駄足だったなと感じた治療に、請求額は8,500バーツ(約3万円)。タイに移住してからずっと利用していたこの病院だが、二度と行くまいと決めた。

その後個人的な人脈を辿り、ある病院の院長先生に睡眠障害の良い医師を紹介して欲しいとお願いし、これも一流病院であるBR病院の心療内科に勤務されているK医師を紹介していただいた。数日待ち予約した時間に診療を受け二種の抗うつ剤を処方していただいた。最近は睡眠薬の離脱時障害が一般的に知られており、私も過去に経験している。そこでK医師は、古くから普及している抗うつ剤の副作用である催眠効果を利用し睡眠障害の患者に処方することを考案し実施しているそうだ。

結果的にこの日の夜から良い睡眠が得られるようになり、まったくの常態に快復した。まさに命拾いしたと感じている。しかしまた私の悪い癖というのか、この薬品が薬局で売っていないか、売っていれば価格はどの程度なのかを確かめたくなった。そこで昨日、すべての薬品を取り扱っているお馴染みの薬品ホールセラーに行ってみた。確かに普通に販売しており、価格を聞くと何と10日分で55バーツ(約200円)だった。200円の薬で命拾いしたのかとコケそうになった。聞くんじゃなかったとも思った。

ただし服用期間や副作用のこと、離脱時障害(無いとは聞いているが)のことなどアドバイスいただきたかったので、昨日再診を受け、同じ薬の処方もお願いした。

再診でアドバイスいただいた。うつ病患者に処方する場合には1日3~4錠服用するので、催眠のため1錠服用する程度なら副作用や離脱時障害の心配もないとのこと。体調が落ち着いたら3/4錠や1/2錠に減量してみて徐々に離脱するのが良い方法だという。