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第67話 タイの交通情報

2019年12月20日 バンコク便り

以前、未だ日本のラジオやテレビを簡単に聴取・視聴できなかった頃に、運転をしながら聞けるのは当地のラジオ放送か音楽(カセットテープ)だった。ラジオ放送の中には常時交通情報を流している局がありとても面白かった。というのはその情報ソースが放送局アナウンサーでも公的機関でもなく、すべて一般ドライバーによるものだったからだ。丁度携帯が普及してきた時期とも重なり、局アナの元には次々と一般人からの事故・渋滞情報が引きも切らずに発信されてくるのである。出たがり屋という国民性の一面も感じられて飽きなかった。中には「ナンバーXXXXのピックアップトラックがXXXX通りのXX交差点付近を黒煙をまき散らして走って行った」などの苦情、また事故被害者の様子を知らせ警察に救済を求めたり、「XXからXXまで利用したタクシーに忘れ物をした。見つけた方はXXまで連絡をお願いします」逆にタクシードライバーから「XXで降りたXX歳くらいの男性が忘れ物を残していきました」という感心な通報など、雑情報や有益な情報を有能なアナウンサーが正に交通整理し活躍する番組だった。あの頃つまり20年と少し前から、生活に少し余裕が出てきたからでもあろうが、バンコクの「自分の手から離した物は絶対に戻らない」世界に、「善行を広めよう」的な意識が少しずつ浸透してきた気がする。

それにしてもあの頃の交通事故件数は大変なものだった。一時郊外から通勤した時期があったのだが、バイク絡みの事故を目撃しない日は無く、路上で意識を失った状態の人も多く見たし、一度はピックアップトラックがひっくり返り幹線道路に遺体が散らばっているのをよけて走ったこともある。寝ずに長距離を走って稼ぐためにトラックドライバーが覚せい剤を使用し、結局は運転しながら意識が無くなって起こす大事故も繰り返されていた。当時はこの様な場所だと当たり前に思っていたが、今から考えればとんでもない状況ではあった。逆に近年のバンコクのドライバーはかなりマナーを心掛けるようになったと云えるだろう。狭い路地が渋滞の際に平気で対向車線に出てくるバイクを除いて、また彼らの一方通行無視も。

そう云えばTBSラジオの大沢悠里さんの番組中、交通情報を提供されていた「千葉県警の川瀬やよいさん」というお名前が当時二十歳前後であった私の記憶から離れず、また数年前にネット経由で聴取していて同じお声を拝聴した。もちろん大沢悠里さんも同様だが40年もの間継続されていることに驚くとともに敬意を抱いた。