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第63話 タイのプラスチック削減策

2019年08月18日 バンコク便り

ここ1年くらいの傾向として、この国の企業でもプラスチックの削減策が実施されている。日系メーカーのヨーグルト容器が紙製に代わったり(但し供給されるスプーンとそのパックは依然プラスチック)、スーパー・流通各社でも「ノー・プラスチック・デイ」を設け月に1~数度、ポリ袋を提供しない日を設けたり、マイバッグ持参の客にはポイントを付与したりというキャンペーンが実施されている。

大量のプラスチック廃棄物を飲み込んだジュゴンの子供の死亡が報じられたこともあり、タイ市民の間でも俄かにプラスチック廃止論が叫ばれる様になった。これに呼応しタイ政府内でもプラスチック全廃の期限が議論されたが、結局現政権の決定は「全廃の実施は2022年までには行わない」というもので、市民の批判にさらされている現状である。

もちろん流通上で包装材としての使用を削減するのは、一面として効果があるだろう。ただ肝心な、行政としてのゴミ処理政策の改善が遅々として進まないのでは全くの片手落ちだ。現実にはゴミ収集の段階の「分別」が全く行われていないのだから、リサイクル・システムの確立は望むべくもない。日本でゴミの分別が進む以前に当地へ移住してしまった私がまさに生き証人であって、日本ではしばしばご迷惑をおかけしている。何しろ紙屑も生ごみも缶も瓶もペットボトルも一緒くたんに、ポリ袋に入れ出してしまう。リサイクルが無ければ市販のゴミ袋もまたただのプラスチック製である。改善したいという認識はあっても実施するためのインフラが存在しない。

かつてはJICA(日本国際協力機構)のプロジェクトとして、日本からごみ処理の専門家が派遣され常駐していたはずだが、どうなってしまったのか。

この現実を考慮すれば、数年でプラスチック全廃などというお題目が絵空事であることは、政府関係者ならば容易に理解できるだろう。