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第59話 タイ総選挙の経過

2019年04月15日 バンコク便り

3月24日に実施された総選挙の結果、二大政党の得た得票数・議席が拮抗していることから、予想されたことながらまた鍔迫り合いが続いている。

親軍部派政党パランプラチャラート(PPRP)は総得票数790万票、下院の獲得議席数は118、そして敵対する親タクシン派政党プアタイ党(PT)は740万票、獲得議席数は137となった。PPRPは獲得票数を盾に、PTは議席数を盾にそれぞれ我が方の正当性を主張し合い新連立政権設立の優先権を争っているという訳だ。但し選挙管理委員会による公式発表は来月になるということで、暫くは双方が手を組む小政党を求めて工作を行い、小政党の側はどちらが有利なのか、またどちらにつけばキャスティングボードを得られるのか様子を窺うという状態が続くことになる。

現在の予測ではPPRPに民主党やチャートパタナ党(CTP)が同調するのではないかと見られている。ただ投票日前に民主党党首が発した反PPRPの主張が問題視される可能性もある。民主党と云えば反タクシン派の第二政党として争ってきた当事者であるが、貴公子であるアピシット氏が“軍事政権との連立を目指すのか”という批判を恐れ口を滑らしてしまったということなのだろう。

しかしおそらく、新憲法に盛り込まれた「政権争いで混迷した際には議員以外から首班指名を行うことができる」という規定がものを言い、適用された場合にはPT側に打つ手は無い。正に現プラユット首相がこの様な事態を予想し強硬にねじ込んだこの法文が功を奏す可能性が高い。

上記の獲得票数と獲得議席の差は、選管が設けた比例代表制によるものだが、そのフォーミュラが複数あり、しかも使用したフォーミュラは公開されておらず、PTは選管に対しどのフォーミュラを使用したのか明らかにせよと要求している。これは極めて正当な要求だと思うのだが、現首相はこれに対し、「悪意ある者」が騒乱を起こそうと画策しているなどと主張し、毎度のことだがタイ政界は泥沼の様相を呈している。