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第167話 事業所数減少と税制

2019年02月08日 所長の眼

県内の平成28年の事業所数は114,895で24年のデータ(120,995事業所)に対しては5%の減、そして21年の事業所数128,821に対する減少率は1割にもなります。この間わずか7年です。

調査年 平成21年 平成24年 平成28年
県内事業所数 128,821 120,995 114,895

平成28年の市町村別では、4年間で減少率が最も低い聖籠町が△0.5%、1市2町1村の4市町村では4年間の減少率が10%を超える事態となっています。全国レベルでも推して知るべし。高齢化による廃業などやむを得ない事情はさておき、少なくとも次世代へ承継する意思のある企業に対しては税負担を軽減すべく税制も改正を重ね対応してきました。そもそも事業承継問題に対する特効薬など無く、特例税制はあくまでも事業承継に伴う税負担の軽減であり、処方の一つでしかありません。とは言え昨年に法人を前提として制定された特例事業承継税制に加え、平成31年度税制改正大綱で新たに導入される個人事業者向け特例をもって事業承継税制は揃い踏みとなります。

その大綱に基づき個人事業者向け特例の概要を確認しましょう。相続の際の個人の事業用資産に対する従来の取扱いは相続財産全体の中の一部としてそのまま相続税の計算に取り込まれ納税する仕組みになっていました。すなわち後継者に対して換金化できない事業用資産について相続税の負担が生じていたわけです。これでは円滑な事業承継の妨げとなります。そこで新たな「個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予」制度は、亡くなった事業主(被相続人)の事業用の土地、建物や減価償却資産に対応する相続税の全額の納税を猶予しようというというものです。

この制度のポイントをいくつか紹介します。

  • 亡くなった事業主(被相続人)は、生前から青色申告者であること。
  • 承継者(相続人)は、承継計画※に記載された後継者であって、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた者(認定相続人)をいいます。

※「承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された所定事項が記載された計画であって、2019年4月1日から2024年3月31日までの5年間に都道府県に提出されたものをいいます。

  • 不動産貸付事業は対象になりません。
  • 認定相続人が、その死亡の時まで、特定事業用資産を保有し、事業を継続したなど一定の場合には猶予税額の全額が免除されます。

注意すべきは、先々、認定相続人が特定事業用資産に係る事業を廃止するなどの場合には猶予税額の全額を納付することになることです。したがって、制度の利用にあたっては十分な検討が必要です。