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第56話 また財源、見つけた!

2019年01月09日 バンコク便り

一見人当たりの良い、おだやかに見えるこのタイという国の政府の、お家芸とも云える財源発掘術を紹介させていただこう。

東南アジアという地域性から、行政システムがいい加減なのでは無いかと思われがちではある。確かにまだまだアンダーテーブル・マネーで何とかなることも、管轄の省庁によってはある。しかし立法や行政システムの構築を創り上げるのは、どの国家も同様に頭脳明晰な人達が行う訳で、施行されている法律・規定は完成度の高いものなのだ。ただしその運用においては人手の問題や、組織の末端を担う職員にまでどの様に浸透させるか、などという障害により徹底できていないことがままある。その結果、制度上はきっちりと規定されている事柄であっても、怠惰なのか市民に対する温情なのか、結果的に黙認されていることが多い。この財源発掘術というのは、それまでも制度上義務化されていたけれども、現実には黙認されその義務が実行されていなかったことが、ある日突然、厳正に行うべく指導されそれが税であればその時点で罰則金とともに徴収される、というパターンだ。

その1 1年半ほど前であったか、税務調査過程で収入印紙が必要な書類に貼付されていないということが追徴課税の対象となった、という噂が伝わってきた。元より印紙税については、対象となる文書「契約書・同意書、金融・商業関係の手形・株券・社債券・小切手・領収証・信用状・委任状・会社定款・保険証書、等々の発行に際しては取引や契約額の0.1%に当たる額の印紙を添付すべし、貼付漏れには200~600%の加算税を課す、と定められている。もちろん印紙自体はすべての地域税務署で販売されている。しかし世間では、土地登記など政府機関に提出する文書以外は貼付せずとも問題ない、と認識されていたし何の手入れも実行されていなかった。それが、噂が伝わってきた頃からすべての税務調査に於いて厳正に取り調べられ、あっという間に定着してしまった。一件ごとの税額は僅かだが、これを一斉に全国で調査を入れれば、加算税はある程度の財源となろう。しかし歳入法で規定されている通り過去5年まで遡って徴収すれば大騒ぎになるのは必至で、そこはタイ的裁きで前会計年度の文書だけに留めるお情けも加味された。もちろん当局がしっかり指導を行っていれば加算税はほぼ無かったのだから当然でもある。

その2 つい先月のこと、BOI(タイ投資委員会)認可事業を行っている企業の、フル開業申請手続を行った時のこと。この認可事業には外国人事業規制で制限されている「サービス業」が含まれるということで、商務省外国人事業委員会の発行した許可証の提出を要求された。厳密には法律上必要な手続きであったので、たまたまこの企業はすでに許可証を取得していた。しかし日系企業の間では「BOIの認可を受けているのだからこの規制に関しても免除されて当然」と認識されている企業がほとんどであったと思う。実際、私自身もつい先日、やはりBOI認可事業を行っているIT企業の件で、ソフトウェア開発に伴う保守管理等のサービスについてBOIに直接問い合わせ、「それは認可事業に付随する業務であるから何の問題もない」との回答を得たばかりである。そしてその直後、新規にIT事業を取得した企業のBOI奨励証書を受け取った際、商務省からの案内が添付されており、この許可申請を行う様にとの文書であった。またさらに、3年ほど前にIT事業のBOI認可を取得した企業宛て、商務省からの文書が送付され、商務省本省への出頭要請があった。この企業から相談を受けたので、「ここにどういう意図なのか記載はないけれども、おそらく外国人事業許可を求められるでしょう」とアドバイスさせていただいたが、果たしてその通りであった。またしても商務省上層部で、この許可申請手続を厳しく調整すれば1社につき22,000バーツ(商務省実費)徴収できるではないか、と誰かが提案し早速実行を開始したものと思われる。