TEL:0120-799-099 受付時間:8:50~17:00 お問い合わせはこちら

更新情報

第164話 軽減税率導入からインボイスまで(その1)

2018年11月14日 所長の眼

先月、安倍首相は「消費税率引き上げ実施宣言」を行いました。来年10月からは消費税率が10%に引上げられるとともに、飲食料品などを対象として8%の軽減税率が導入されることが明確になりました。テレビなどでは主に飲食料品を扱う事業者などで何が「外食」で10%になるのか、どこまでが軽減税率の適用範囲なのかといったことに話題が集中しているようですが、確かに食料品の売場では様々な場面が想定されますし、その現場では2%分を支払うのかそれとも免れるのかの判断に時間を費やしている暇はありません。しかも判断にばらつきがあっては公平性の観点からもよろしくありません。もともとは軽減税率導入の本来の趣旨である低所得者に対する配慮の観点から正否を判断すべきとは思いますが、形式的判断基準を明確に示し、まずは現場の混乱を避けながら軽減税率制度の定着を図ることが制度本来の趣旨に沿うということになるのでしょうか。

さて、消費税を消費者の皆さんから預かって納税しているのは事業者であるわけですが、その消費税申告で納めるべき税額を計算する上において来年の10月以降から何が変わってくるのでしょうか。現行の「請求書等保存」方式が「区分記載請求書等保存」方式に変わり、やがて2023年10月には「適格請求書等保存」方式(いわゆるインボイス方式)へと変わっていくことになります。専門用語が並んでもわかりにくいですね。

では、その中身の話になりますが、事業者が消費税の申告で納める税金は、売り上げに際して預かった消費税から仕入れなどの際に支払った消費税の差額で精算し、納税となりますが、実際の取引ごとの消費税額を積上げて計算してるわけではありません。申告の際はは、課税期間の消費税を含めた取引総額からの「割戻し計算」で納税額を算出しています。たとえば、課税期間の仕入れなどの取引総額が税込みで432,864,000円であれば、その8/108で32,064,000円(もちろん取引ごとの消費税額を積み上げたトータルの金額とは一致しません。)を税務署に納める消費税額の計算上控除します。そして、その控除の裏付けとして、かかわる領収書や請求書を保存することが義務付けられており、これを指して「請求書等保存」方式と言っています。仮に税務調査の際に請求書等の保存がされていない取引があれば、裏付けのない消費税が過大に控除されていたものとして、修正そして納税することになりますので注意が必要です。

軽減税率が導入されても現行の方式がベースになりますが、8%と10%の2つの税率を混同しないようにしなければなりませんから「区分記載請求書等保存」方式ととして、請求書等には下記事項が記載されたものを保存することになります。(下図)

  • 軽減税率の対象品目である旨、
  • 8%と10%の税率ごとに合計した税込みの額

vat

(次回へつづく)