TEL:0120-799-099 受付時間:8:50~17:00 お問い合わせはこちら

更新情報

第54話 タイの労働力

2018年11月15日 バンコク便り

patpong  patpong_2

ここはビジネス街シーロム通りとスリウォン通りを結ぶ、ゴーゴーバーと夜店(ナイトバザール)で有名なパッポン通りである。第2次大戦後、バナナ農園であったこの地区の土地を買い取り開発を手掛けたパッポンさんが名の由来だ。1960年代からナイトクラブなど繁華街として発展し、ベトナム戦争を契機に米兵の帰休地として南パタヤとともに活況を極めた。今現在も通りはこのパッポン一族の末裔が管理する私道となっている。(因みに表通りの屋台は管轄警察署の管理の下にある)

この通りでは午後3時ころから、周辺地域に保管されている写真上右の様な夜店の機材と商品が人力によりぞろぞろぞろぞろと集まり出し(その大きな保管場所の一つはサトーン・スラムと言われている、外部の人間は滅多に足を踏み入れない一画)、開店までの数時間の間に設営される。どこからかフォークリフトもやってくる。

午前1時くらいにすべての店が閉店となり、また夜店は解体され、保管場所までぞろぞろと引き上げてゆく。この設営と解体には100名近くの男性たちが動員されている。

またバンコク中の、大通りに面した各路地の入口や高架電車・地下鉄の出口、また多人数が集まる施設の付近には、必ずと言っていいほどオレンジのチャンチャンコ(背に登録地域と登録NO.が示されている)を着たバイクタクシーがたむろしている。私も渋滞を避けて移動すべくよく利用しているが、兎に角その数が多い。料金も、指定地域内であればせいぜい15~30バーツ(50~100円)と安いので、庶民の交通手段として定着している。

巷間人手不足と言われ、事務職も工場労働者もともに労働条件の改善を余儀なくされている企業において、特に工場ではラオス、カンボジア、ベトナム、ミャンマーの近隣4か国からの出稼ぎ労働者を、政府は雇用の規制を緩和してでも誘致している。しかし一方上記の様な、生活上拘束されない労働者やバイクタクシーの運転手、もちろん夜のサービス業に関わる人達など、会社組織に所属せずに自由な生活を送っていると思われる人たちが、その所得の多寡にかかわらずゴマンといるのだ。

ここにも個人の自由を求めるタイの国民性がよく表れていると思う。もちろん教育を受ける機会の格差を忘れてはいけないのだが。