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第50話 タイ社会の変貌

2018年06月13日 バンコク便り

私の認識不足であっただけなのかも知れないが、行動を起こしてみると暫く見ぬ間にバンコク近郊も田舎も含め大きく変貌していることに驚く。

先ず1か月ほど前の事だが、たまたまご縁があって、バンコク郊外の石材メーカーを見学した。タイの石材というと、それほど品質は高くないが国内で大理石などを産出するので、建材として多く使用されている、というイメージしか無かった。

ところが訪れたラチャダー・マーブル/アンティーク・ストーンという企業は、ショールームとオフィス、それに作業場も加え、東京ドーム並みの敷地を占めている。国産の安価な大理石などは扱わず、イタリア、スペイン、トルコから一流の石材を買い付け、加工や内外装施工を行っているのみではなく、石で建物も建てる、巨大モニュメントや石像も造る、果ては天井モザイク画まで美術的作品も手掛けているのだ。通常街の石材屋では15~18mm程度の決まったパネル状石材を仕入れ加工・施工をするのが限界だが、ここではあらゆる仕様のものを注文でき、ブロック(石塊)のストックがあれば切り出し、無ければ産地から輸入するという。昨今の建築ラッシュを見越しての起業であろうが、何ともずば抜けた投資である。中国本土資本と地場華僑との合弁企業ということだ。バンコク周辺にこの様な起業が存在するとは、隔世の感がある。

また、あちこちのローカル向け観光地が開発ラッシュに沸いている姿は見かける。ご縁があってお邪魔した東北地方の田舎の村は数年前まで観光開発に縁もゆかりもなかった。ウドンタニ県の県庁所在地から車で1時間程のただの田舎の村、であったはずが僅か5年の間にリゾート・ホテルが林立している。テレビ放映か何かのきっかけでこの地区の寺院が有名になり、週末にはタイ全国から参拝客が押し寄せるのだという。畑と民家しか無かった静かな村に今や札束が舞っている様な状態で、二束三文であった地価が高騰、村人は所有する土地を売り払い、縁の無かった現金を手にしてほくほく顔である。リゾートと言っても簡素なバンガローが多く立ち並び、土地を売った側の息子、娘たちもこれまでは全く機会の無かった定職を得て、また平日はガランとしてしまうバンガローには若いカップルがバイクを乗り付け世界共通のお楽しみを満喫する。

また県庁所在地には大規模なレストラン、映画館も入る大型ディスカウントショップ、バンコクで有名なビアホール・チェーンまで進出してきた。

住民の人たちが笑顔になり盛んに酒盛りをしている中に私も加わった訳だが、楽しむ皆さんの傍らで物寂しさを感じているただ一人の私は、勝手な感傷に囚われているただの部外者なのだが・・・・