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第49話 タイの総選挙はどうなるか

2018年05月11日 バンコク便り

これまでも報告してきた総選挙の行方だが、実施は来年2月と発表されている。長期間にわたり現プラユット首相は憲法草案や様々な法制の修正を行い、その陰で親タクシン派(プアタイ党、タイのために、の意)の弱体化を画策してきた訳だが、最近ではその矛先は反タクシン派の野党にも向けられている。治安維持の為と称し5名以上の集会を禁止としたり、総選挙に当たり現存する政党に対し党員再登録の法制化も行い、結果締切期日を過ぎても再登録を行った党員はほんの一部に過ぎなかったという(民主党の例では党員250万人の内10万人)。

 これには国全体の政治活動を厳しく制限した上で、自らが主導する新党を立ち上げようという意思が感じられる。また軍首脳や地方の各有力政治家に擦り寄り、指示を取り付ける活動も積極的に行っている。

例えば内閣は東北部ブリラム県で移動閣議開催を予定しており、その目的はかつてプームチャイ・タイ党を主催したネウィン・チットチョーブ氏の政治的地盤で閣議を行い、開催中に同氏のファミリーにアプローチするのだろうと見られている。(首相は不快感を露わにし否定)

また敵対するプアタイ党から離脱する党員グループ(南部出身議員から構成されるワダ・グループや、最近党籍を離れ新党タイ・シチズン・パワー党の名称で登録したグループ)まで取り込み新政権樹立を目論んでいるとされる。

タクシン氏に関する報道も、実妹インラック元首相が兄を頼って同様に国外逃亡をしたという報道以来あまり見られないことから、やっとタイ政界もタクシン家の影響から逃れられた、ということなのかも知れない。この点に関しては現政権の功績と云えるだろう。

元よりタイには革新政党や左翼政党は存在せず、政党は日本で云う党内の派閥に類するというのが私の見方だ。結果、ポジション分配を餌にすれば合従連衡はいとも容易く行われるのである。

つまり誤解を恐れずに言えば、公共心や、自己犠牲も伴う本質的な政治意志を備えた政治家の生まれる土壌に乏しいということになる。

また俗な言い方であるが、飽きっぽいという国民性もこの様な政治家たちに利する結果を生む一因では無いかと考えている。