TEL:0120-799-099 受付時間:8:50~17:00 お問い合わせはこちら

更新情報

第157話 自社株承継と税金の話

2018年03月07日 所長の眼

平成30年度税制改正で注目されているのが、事業承継税制が大幅に条件緩和されることです。中小企業の自社株を後継者に引き継ぐにあたり贈与税や相続税の負担が生じることは事業を承継する際のリスクとして以前から悩ましい問題でした。

一方で、上場企業について事業承継問題が語られることはありません。なぜなら株式会社本来の「所有と経営の分離」が徹底されており、株主が取締役(経営者)に企業経営をゆだねる仕組みができあがっています。この仕組みに従って役員人事が行われ経営者の交代が進みます。株主と経営者が切り離されていますから原則的には経営者の異動と株主の異動は別物です。その株主が所有する株式には市場があり、いつでも売買することができるわけです。仮に株主の相続の際には、その株式の財産的価値に着目して相続税の課税対象とすることに違和感はありません。

対して、ほとんどの中小企業の場合は「所有と経営の分離」は思想的なケジメとして意識することはあっても現実的には一体です。したがって経営を承継するということと自社株を承継するということは別物ではないのです。事業を後継者に承継するにはタイムラグがあるにしても最終的には所有と経営が一体となってはじめて事業承継が完結し、次世代の安定的な経営のための礎となっていくのです。加えて、中小企業の株式については流通市場がないわけですから、事業を継続する限りは株式を売却して現金化することなどできるはずもありません。私見ですが、その株式は後継者が経営を承継するための必須の事業用資産といっても過言ではないのです。

ですから、この度の事業承継税制の大幅な条件緩和は大いに歓迎しています。その理由は事業を継続する限りは自社株を引き継ぐ際の贈与税や相続税負担をゼロにできるという画期的な内容だからです。大雑把な話として、手続的にはいったん納税を猶予して、約束通り事業を継続していれば、やがては猶予されていた税金は免除になるというものです。継続する限りといっても、仮に承継後の企業環境の変化などで人員を削減しなければならない事態になっても直ちに納税猶予打ち切りとはなりませんし、継続していくはずの事業が廃業・売却などという事態になっても斟酌すべき事情があればその時点での担税力を考慮する仕組みになっています。

この特例制度の法としての正式な成立を待って適用を受けたいということであれば平成30年4月から35年3月までの5年間に「特例承継計画」を県知事に提出してください。とりあえず提出しても実際に特例の適用を受けるかどうかについて拘束されることはないようですから前向きに検討することがポイントです。

なお、この計画を作成する際には「認定経営革新等支援機関」の指導及び助言が必要です。認定支援機関として実績豊富な弊事務所にお任せください。