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第151話 処方箋派?それとも市販薬派?

2017年09月25日 所長の眼

健康維持のために食事に拘ったりフィットネスクラブで汗を流したり、実に多くの方々が「セルフケア」を実践しています。文字通り「セルフケア」とは「自分の体は自分で健康管理する」という意味です。では、今話題の「セルフメディケーション」を意識的に実践している人はどれほどいらっしゃるでしょうか?

「セルフメディケーション」は「セルフケア」の一つとして位置づけられると思いますが、病気予防や治療のために自分自身で服薬することをいいます。言い方を換えると診療所で処方箋を受けずに、薬局で市販薬を買って済ませてしまうということです。

次に「OTC薬」はご存じですか?こちらは「Over The Counter」の略で、薬局のカウンター越しで買う薬という意味で、いわゆる市販薬のことです。加えて、以前は処方箋をもらわないと入手できなかった薬でも、今では一部が薬局で買えるようになったものを指して特に「スイッチOTC」といいます。

さて、本題ですが、「セルフメディケーション税制」という新たな制度が今年からスタートしています。この税制が設けられた背景には、国民医療費が40兆円を超え毎年増大し続けているという現実があります。国民医療費の増加は深刻な問題です。自ずと「軽い病気なら医療機関へは行かずに市販薬で直してもらいたい。」ということになるわけです。そして、一役を担ってもらおうと登場したのが「セルフメディケーション税制」です。

個人の確定申告で利用する医療費控除の特例ですが、主なポイントは次のとおりです。

  • 従来からある医療費控除との選択適用になります。
  • 医療費控除は原則として医療費が10万円を超えなければ適用がありませんでしたが、スイッチOTC薬品の年間購入額が1万2千円を超えれば、超えた金額(上限88,000円)について所得控除の適用があります。最低ラインが10万円から1万2千に下がったことで節税メリットを享受し易くなりました。
  • 厚労省の説明を引用すると、課税所得400万円の者が、対象医薬品を年間2万円購入した場合、8千円が所得控除の対象となり所得税率20%、住民税率10%として2,400円の節税になります。結果的に医薬品を12%引きで購入したことになります。
  • この制度を利用するためには、定期健康診断や予防接種などを受けるなどの要件もあります。
  • 対象となる医薬品かどうかのチェックも必要です。

薬局が発行する要件を具備した領収証やレシートの保管という手間をいとわずにどれだけの納税者がこの新たな税制を利用し、セルフメディケーション推進による医療費抑制への成果へと繋げていくか。そう考えるとまだまだ国民への周知は十分ではないと感じています。