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第41話 外国人就労管理法

2017年09月20日 バンコク便り

ここ数か月の間取り沙汰されている新法については、当初は不法就労している近隣国からの出稼ぎ労働者が一斉に帰国したというニュースで始まった。近隣国(ミャンマー、カンボジア、ラオス)からの労働者については、クオーター制を設け総枠規制を行っていたが、当然のことながら、陸続きであり圧倒的に人手不足で給与も高いタイへと不法労働者が流れ、各国から数十万人とも言われる人々が訪れ就労していた。カンボジアからは主に建設労働者として、ミャンマーからは主に飲食店従業員として(ラオスは元より人口の少ない国なので目立たないが)、当たり前の様に就業していた。そこには各国の悪質エージェントも介在しており、パスポートを預けたままビザ申請料と称し法外な費用を請求されているとか、あるいは国境超えのバスの屋根上に横たわって入国したなどという話もご本人たちから聞いたことがある。しかし一面でタイの労働市場は彼ら/彼女らに支えられていた訳である。実際、建築や内装の現場労働者は100%と言って良いほどカンボジア人労働者であり、ウェイトレス/ウェイターさん全員がミャンマー人という店もよくある。立場が弱く(不法労働という意味で)、また同一のバーツ建て賃金に対する価値観の違う外国人が、一所懸命に働くのは道理であり、雇用する側にとっても非常に有難い存在なのだ。

この国の行政手法?としては極めて当たり前ともいえる、長期間の黙認→突然の取り締まりがまたここでも行われようとしている。結果はどうなるのか?これはあくまで私見だが、施行当初は厳しく取り締まるが、いずれ贈収賄によるなし崩し状態となり、何が変化するかと云えば、罰則金の高額化=賄賂の高額化というのが相場である。執行機関である警察もこの結果を見越しており、すでに警察庁長官からは「この様な悪徳警官の不正には厳罰で臨む」との警告が発せられている。

クオーター制がどうなったのかは詳らかにされていないが、当初この新法は6月23日に施行されたものの、雇用者側から発せられた経営に対する打撃が大きすぎるとの訴えに対処し、施行は2018年1月1日に延期された。出稼ぎ者は猶予期間に一時帰国し、正式な申請書類を揃え就労手続きを行うということに落ち着いた訳だ。だがどうであろう。見つからなければOKという考え方の人々が多くを占める雇用者側、被雇用者側の双方がどう判断するのか?そして取り締まる側まで、3者の利害関係が一致してしまうと、その結果は推して知るべし。

しかし発覚した場合の罰則金が大幅に増額されたことは、同様に外国人として雇用しあるいは雇用される我々日本人にとってはより深刻なのではないか?今時日本人で不法就労/雇用をしている例は殆ど無いとは思うが、労働許可証には勤務地、業務内容も記載されており、経営者として許可を受けながら、厳密に言えば本来外国人に開かれていない業務をやむを得ず行っている例は普通にある。今回の罰則では「労働許可証記載業務外で就労させた雇用主に対しては40万バーツ・約120万円以下の罰則金」「無許可業種・禁止業種で就労した者に対しては2,000バーツ以上10万バーツ以下(約6,000円~30万円)の罰則金」が課される。そこは指導を行っているということで説明する他無いのだが、取り締まり強化期間である現在、そこは細心の注意を払っていただきたい。お役人様の方々にとって、我々日本人は常に取り扱い易い人たちと思われていることもお含み置きいただきたい。