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セミナー開催報告

2017年08月31日 トピックス

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セミナーではタイ在住期間が30年以上に及ぶ小川の経験から、タイの人と文化、そして二つの進出成功事例の話題を提供いたしました。一つ目は従来型の自動車関連の製造業、二つ目はタイを消費地として捉え成功を収めている日本産生鮮食料品の販売会社の実例です。特に後者(B社)については、従来の成功例とは異なる興味深い内容です。ご存じの世界的な和食ブームはタイでも例外ではありません。最近ではタイ人も日本へ旅行する機会が以前より増え、日本の食品の品質の良さを実感して帰国するタイ人が沢山います。インバウンドの二次的効果とでもいいましょうか、タイでの和食人気も単なるブームでは治まらなくなってきています。このような状況を背景に、同社が2015年から開始した生鮮食料品(主に果物・野菜)の日本からの輸入実績の急成長ぶりは目覚ましく、大変に興味あるものです。
従来、生鮮品の輸出と云えば空輸、つまり高額の航空輸送費を負担し、いわゆる高級スーパーで販売されるタイの一握りの富俗層向けの商品でした。例えば日本の普及品クラスの柿一つが780円近いという相場です。これではいくら日本の果物が安心安全美味であっても、市場では中国からの輸入品が主流となってしまいます。
しかし、これが日本の革新的な保存技術と、日タイ間の流通ルート確立により、3分の1近い価格で販売できる様になりました。販売先はレストランへの生鮮野菜販売やスーパーマーケットでの直販コーナー設営(現在60店舗)などで、2016年通年では376トンの流通実績を上げ、扱った日本産の野菜・フルーツの種類は40種類以上に及びます。たったの1年間ですが驚くべき成長ぶりです。将来的には現地のディスカウント・スーパーや露店での販売も視野に入れるなど同社は更に積極的な市場開拓に力を入れるとのことで、勢いを感じます。
このような鮮度を保つ技術は何もタイ市場向けだけに利用されるものではありませんし、その応用範囲は輸出に限定されるものではないと思われますから、食料品流通の今後を占う新たな兆しととして注目されます。
何事も足元を見つめ慎重に判断することは大事なことですが、ご紹介した事例を目の当たりにすると、一方の“スピード感”の大切さもあらためて認識させられます。国内だけでは取引が完結することがない時代、内外の情報も鮮度が肝心なようです。

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