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第132話 ターゲットは富裕層~財産債務調書~

2016年02月10日 所長の眼

今回の確定申告からその年の所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、お持ちの財産が総額3億円以上または保有有価証券等の価値総額が1億円以上の方が確定申告する際には「財産債務調書」の提出が必要になります。

従来からの「財産債務明細書」の提出に代わる新たな制度で提出しなければならない対象者は所有財産の要件が加わったことでだいぶ絞られましたが、より厳格な制度に生まれ変わりました。新制度の主なポイントをいくつかご紹介しましょう。

ポイントその1・・・調書の不提出や記載漏れは過少申告加算税の加重をまねきます。

例えば、提出期限までに提出されない場合や記載漏れがあった場合に所得税の申告漏れがあれば過少申告加算税の税率が5%増しとなります。反対に申告漏れがあった場合でも財産債務調書にはしっかり記載されていたとなれば過少申告加算税の税率が5%軽減されます。いわゆるアメとムチ。

ポイントその2・・・質問検査権があります。

例えば、税務署が銀行などに対して提出された調書の内容について調べたり、提出した個人に対して調書が正しく記載されているかどうか税務署から税務調査を受けることがあります。

ポイントその3・・・自社株も原則として会社の純資産価額をベースとして判定します。

中小企業のオーナーさんはご注意ください。例えば会社の決算書の純資産が3億円で貴方の持分が3分の1以上あれば、それだけで保有有価証券は1億円以上と見積もることができます。正確な評価は最寄りの税理士にご確認ください。

ポイントその4・・・個人事業用の資産も対象になります。

例えば、個人事業を行う事業主の方の売掛金などの債権も対象になるなど対象財産は広範囲です。

ポイントその5・・・財産の区分、種類、用途、所在、数量、財産の価額(時価)など詳しく記載する必要があります。

土地、建物、預貯金、有価証券、債権、書画骨董類、貴金属、自家用車、家庭用動産、生命保険契約、借入金などそれぞれについて上記の項目を正しく網羅的に記載するには資料収集や評価等々思いのほか手間がかかると思われます。準備不足は記載内容の不備や記載漏れを招き、先々加算税加重のペナルティを課されることにつながりかねません。くれぐれも早めの対応で備えてください。

蛇足です。本年より導入されたマイナンバー制度は2018年から任意登録による預貯金口座での利用が始まりますが、やがては義務化に進む可能性もあります。それら考えあわせ、私は「今後ご自身の財産については管理の在り方や関わる税務については今にも増して関心を持っていただくよう。」最近お話をさせていただいております。