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第20話 カンボジア再訪15年11月その1

2015年12月28日 バンコク便り

3か月ぶりのカンボジア視察である。今回は日本カンボジア交流協会という団体の視察グループに便乗する形となった。率いる山田理事長は、カンボジアが国を開いた数年後、20年近く前からカンボジアの人達の職業訓練、日本語会話指導等を通じ、またカンボジア政府とも手を携える形でこの組織を発展させている。ご高齢ながら、そのバイタリティーと周囲への心遣いを拝見して舌を巻いた。

視察の内容は措き、前回レポートした若者たちの優秀さ・素直さとは別の顔を取り上げ、また自力で行ってみた一地方の状況につても報告する。

若者たちおよびビジネスで接する人達の題材に、他人様にお手配いただいたホテルを取り上げるのは気が引けるが、前回報告した小規模ホテルの“過剰なほどの親切な応対”とは真逆を体験させていただいた。ここはプノンペン有数の老舗ホテルであり、多くのビジネスマンや観光客がロビーを行き交う。当然のことながらホテルマンも常に多忙である。先ずチェックインの際、案内された部屋に少々難があるので階上の部屋、出来れば最上階に代えてくれる様お願いした。対応してくれたホテルマンは端末を叩き一所懸命さがしてくれていたが、後方のフロント・オフィスから出て来た上司らしき方がそれを押しとどめ、「上の階はあなたが予約した部屋とはクラスが違うので、代えて欲しければ追加料金を支払ってもらう」とまるで迷惑そうな調子で仰った。我々が直接手配をした訳では無いので、出来る範囲で2階の部屋を選んだが、ホテルマンとしてあるまじき物言いではないかと感じた。また数日後、以前より興味を抱いていた乗り合いバスによる地方旅行を計画し、先ずは足の確保と、フロントにて若い女性に「コンポンチャムへ行く長距離バス会社をご存知ありませんか?」と聞くと、顎を上げ「あなたはチェックインしたいのかチェックアウトしたいのか?」と、ホテルマンの義務はそれだけと認識されているご様子で返答された。質問を繰り返すと「それはベルキャプテンに聞いてくれ」と文字通りのたらい回しである。このホテルはこういうところなのだと諦め、何とか自力でバス会社を探した。後進国では特に陥りやすい「一流としてのプライドのはき違え」では無いか、一流は一流の仕事をすべき、では無く一流なのだからこのままの仕事をしていれば十分、という勘違いであろう。もちろんホテルマン個々では無く、経営方針がそのまま反映されている、筈だ。

さて我々はそのままバス・ターミナルへ向かい、夕刻には無事に、目指すコンポンチャムへ到着した。ホテルへ送ってもらったトゥクトゥク(バイクを改造した簡易タクシー)の運転手が、しつこく観光へ誘ってきたが、まだ何があるのかも分からないので断った(これは大失敗だったのだが)。その日の朝に決めた小旅行であったので、ホテルは目星を付けただけで予約などしてはいない。すると小さなフロントのうら若き女性は、「普通の部屋は満室で、空いているのはVIPルームだけです」と仰る。ホテル代は丁度通常の倍くらいなので、おっさん二人で同宿すれば同じこと、と先ず部屋を見せてもらった。新築ホヤホヤで、そこそこ大きなリビングもある気持ち良い部屋だが、寝室がダブルなのである。少し考えてくれればと思ったが、「ツーベッドの部屋は無いのか尋ねると、またフロントへ案内され、それはあるそうである。また先程の階へ上がり見てみると、セミダブルサイズとダブルサイズベッドのツインで、これは申し分ない。階下で手続きをする。するとそのホテルウーマンは「どちらの部屋にしますか?」これには力が抜けた。日本語では「だ~から~」と突っ込む場面である。しかし彼女にしてみれば全く齟齬の無い、当然の応対なのだ。間違いなく、『素朴で親切、真面目な人達』だ。

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