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タイの『足るを知る経済 』~アジアハイウェイ~

2015年12月28日 コンサルの眼

俳優の井浦新さんが1年近くにわたり総延長13万キロにも及ぶアジアハイウエイを旅をする、NHK‐BSプレミアムの『アジアハイウェイを行く』。  とても好きな番組で毎月楽しみにしてます。

今回の放送は経済共同体の発足を目前に控えたASEANのタイとベトナムでした。
(個人的には今までで一番楽しかったかな・・・)
弊社はバンコク事務所を開設していますが私個人的には、少し違った一面を見た気がしました。

ヌアイ と サバイ

バンコク市街地を旅していた井浦新さん、40年近く屋台で宝くじを売っているおじちゃんと話をします。
そのおじちゃんが言うには

『昔はみんな「サバイ」っていってたけど、最近はみんな「ヌアイ」って言っているよ』

「サバイ」というのは、(元気・気持ちが楽だ)、
「ヌアイ」というのは、(疲れた)           という意味だそう。

また農村部から出稼ぎにきているカップルは言います

『仕事は、体は疲れないけど心が疲れるわ』

経済成長が著しい経済圏において、そこで生活している人々がその成長ペースに追い付けないでいる状況だというのです。

持続可能な経済

続いて東北部のコンケンという農村地帯で農業をしている夫婦は言います。

『私たちは何も持っていないけど、借金もない。』
そして 『サバイ チャイ(気持ちが楽よ) 』と。

まだまだ農村部は経済とは関係なくゆったりとした時間が流れているんだなぁっと思い見ていると、
首長は「この町は『足るを知る経済(SufficiencyEconomy )』を実践している」 と言うのです。

この『足るを知る経済』は、1997年のタイ発のアジア経済危機の際に、国王・ラーマ9世(プミポン国王)が提唱した経済政策なのだそう。

『足るを知る』というのは”もうこれで十分に足りている”と認識することですよね、
仏教国らしい哲学だなぁと思う反面、現代にあっては少し消極的すぎやしないかとも思ったわけです。

しかしこの『足るを知る経済(SufficiencyEconomy )』哲学は今でもタイの国策をして根付いており、タイ国大使館のホームページには「足るを知る経済」という項目に次のように書いてあります。

『これらの王室プロジェクトの目的は、人間の自立のための開発であるといえます。
国王陛下のプロジェクトにおける重要な原則の一つは、開発は地理的・社会的条件に合わせて行われなければならないということです。
この開発には、現代技術と知識の適切な発展が求められるのみではなく、持続性の原則と天然資源の開発に基づいて行われなければなりません。』

実はこの「足るを知る経済」、以前京セラ創業者の稲盛和夫さんの文章でも見かけたことがありました

大量生産・大量消費という経済活動はとても持続可能とは思えません。
「使い捨て」経済ではない、モノを大切にする新しい経済システムを考えることは、これからを積極的に生きる知恵となるのかもしれませんね。

これからどのように変化していくのか

とはいえ、現代の経済は昔とは比べ物にならないくらいグローバルに国境を越えて動いています。(ASEAN経済共同体なんかはそれを目的にしている訳ですしね)。そんな中で「足るを知る経済」哲学をもつ国がどのような役割を担っていくのか、興味をもって見ていきたいと思いました。

それにしても井浦新、カッコいいぞ!