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第127話 雑感“マイナンバー制度”

2015年09月25日 所長の眼

ご存じとおり私も皆さんも複数の番号をもっている。公のものだけでも税金の申告に使う納税者番号、その他免許証、年金手帳、健康保険証、パスポートなどの番号があり、無意識でこれらを必要に応じて使い分けている。そもそも頻繁に利用するものでもないため日常生活をするうえで番号が統一されていないことに関して私自身は不便を感じたことは正直ない。しかし間もなく行政の効率化と国民の利便性を高めるという目的で社会保障・税・災害対策分野での番号の統一化がはじまる。私がマイナンバー制度について取り上げるのは今回で4回目となり、過去の掲載はこんな具合であった。

最初の掲載は8年前の2007年12月号「金融一体課税と納税者番号制度」というタイトルでのもの。株の売却損益、配当金、預金利子等の金融一体課税の実現を目指すべく納税者番号制度が導入された暁にはこんなことが起こるかもしれない・・・「ある日税務署から息子宛に「お尋ね」が郵送されてくる。そこには、「○○様の納税者番号で××銀行に新たに口座が開設されました。○○様は所得が申告されておりませんので、金銭の贈与を受けたものと推測されます。つきましては、金銭を譲り受けた日時、贈与者の氏名・住所・続柄等をご記入の上ご返送くだいますようお願い申し上げます。また、所得の申告がなされていない場合には、参考資料を持参のうえ、税務署まで・・・」・・・。当時はまだまだ先の話でしたから根拠があった訳ではなく勝手な憶測記事を掲載した。

次の掲載は5年前、2010年2月号「納税者番号ふたたび」と題し、自民党から民主党へ政権が代わり「社会保障・税共通の番号制度」の導入と銘打って再び納税者番号の導入に向けた動きが活発化しているなどと紹介したが、当時の議論は今日のマイナンバー制度の考え方のベースとなっているものだ。

そして正に今始まろうとしている「マイナンバー法」が国会で法律が成立したタイミングでは2013年月5号に「国民番号制度いよいよ導入」として皆様方にお知らせした。その時の紙面に次のように記した。『私が一番注目しているのは、所得の捕捉にどのように利用されるかということである。今の段階で利用されることがはっきりしているのは、法人にも付番し個人法人合わせて支払調書など法定調書の名寄を実施し、所得の捕捉に利用するということ。制度導入後は個人番号の利用範囲の拡大を検討することになっている。これに関連し参院本会議でみんなの党中西健司議員が、個人事業主の事業収入、不動産所得の賃貸収入や利子所得等の把握にマイナンバーを活用する予定があるかどうか質問している。対して甘利担当大臣は「国民のニーズと理解」を前提に導入を検討すると答弁している。個人法人を問わず収入や財産の名寄せが政府の手により行われる日はそう遠くない将来訪れるだろうと私はみている。』

そして現在である。先日、マイナンバー改正法案が成立した。国民一人一人の財産の名寄せも待ったなしである。

さらに追い打ちをけるように、差し迫った消費税率10%導入に際し食料品等について軽減税率を導入をするならマイナンバーカードをポイントカードとして利用したらどうかという案が急浮上してきた。マイナンバーカードをポイントカードとして利用するにはインフラ整備が大前提となるうえに、仮に整ったとしても個人番号カードの券面事項や電子証明証書が格納されるカードを常に持ち歩くなどということは考えられるだろうか。印鑑登録カードとしての機能も追加できる。民間の店舗が発行するポイントカードとはわけが違う。ポイントだけでなく個人情報が詰まったキーカードなのだ。さらに、常に携帯するリスクを冒してポイントかき集めても一人当たり還元の上限は4000円だという。

本気だろうか。