2015年05月24日
「顧客のニーズをつかめ!」なんてよく言いますが、それだけでは見当違いな販売戦略になって、
まったく売れない商品を仕入れてしまい、積みあがった返品の山の前で途方に暮れてしまう
なんてことになりかねません。
かなり使い古されたたとえ話で、「ドリルと穴」というのがあります。
「ドリルを作っている(売っている)会社は、
顧客はドリルを買いたいのではなく、ドリルを使って開ける”穴”がほしい」ということを認識すべきだ、
という話です。
ニーズ(必要なもの)は”ドリル”ですが、ウォンツ(欲しいもの)は”穴”です。
とても簡単に穴があけられる、とか一度にたくさんの穴があけられる、というように
顧客は当社の商品を使って得られる効用がほしいのです。
そこで顧客が求めているもの=ウォンツ の把握が重要になってきます。
クルマで例えてみると、
Aさんは単に移動の手段として、費用対効果の高い”お得なクルマ”を求め、
Bさんはハンドルを握ってエンジンの鼓動を感じられるような”ワクワクする胸の高鳴り”を求めます。
美容室でみてみると
Cさんは自分の憧れの髪型に要望通りカットしてもらってモチベーションをあげようとし、
Dさんは美容師さんとのコミュニケーションの中で、ヘアケアだけでなくスキンケアやライフスタイルまで
(潜在的に)提案してほしいと思っているかもしれません。
A~Dさんのどのウォンツに応えるか、これを選ぶことがターゲティングです。
一か月のバイト代が3万円の大学生、
ひと月のお給料が20万円のOL、
年収600万円の4人家族
年商10億の企業 …etc
どんな会社にも財布(予算)があり、その財布の中で利益を最大化するためにやりくりして効用を高めます。
そうとなればいかにして顧客の財布内のシェアを奪うかが重要になってきますね。
顧客の財布の中のライバルは何でしょうか?
あなたの商品は”嗜好品”ですか?それとも”必需品”でしょうか?
世の中が不況になると、人々はまっさにき”嗜好品”の支出を削てガマンします。
海外旅行をあきらめて、国内旅行になったり、旅行をあきらめて近場でキャンプをしたり、レストランで外食をしたり…
旅行業界のみならず、アウトドア業界、飲食業など異業種間で顧客の財布シェアを奪い合います。
一方で”必需品”の場合は、不況時にはすぐに安価品が市場に出回って消費量自体は減りません。
例えばシャンプーに取って代わって台所用洗剤が多く売れることはなく、安いシャンプーが出回るなんて感じですね。
必需品は差別化があまりない商品が多く、常に同一商品・同一業界で競争が収まります。
嗜好品の場合は、ひたすら消費者にとって効用の高いもの(=ウォンツ)を提供して
他業界から消費を奪うことで、逆に競合とムダに競争をせずにすむのです。
一方で必需品については他の商品と比べて、”安い”とか、”早く届く”とか、”品質がいい”といったものが
価値(=ウォンツ)となって、いわゆる[Q・C・D]のうち一つでも優位性があれば競合より優位にたてるのですね。
さて、あなたの顧客のウォンツは何でしょうか?