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第123話 タイvsフィリピン

2015年05月23日 所長の眼

昨年、タイ・バンコクに日系中小企業のタイ進出の支援を目的として会計事務所を立ち上げましたが、ほぼ1年を経過しました。この1年間、例のクーデター騒ぎで軍事政権が誕生する等、少々マイナス要因はありましたが進出企業からの相談は依然絶えない状況です。ところで東南アジア方面への進出先はタイだけではありません。最近フィリピンのマニラを視察する機会がありましたのでその状況を踏まえ進出先としてタイとフィリピンの両国を比較してみました。JBIC(国際協力銀行)の調査(2014年)では中期的に有望と考える事業展開先としてタイは4位、フィリピンは11位となっています。しかし、今回フィリピンを訪問してこの順位の差ほどフィリピンが事業展開先として下位にあるとは感じませんでした。両国の人口ピラミッドの形を比較してみましょう。人口がおおよそ1億人のフィリピンは底辺が広い三角形であるのに対して人口約7000万人のタイは釣鐘のような形で底辺が狭くなっています。そしてフィリピンの出生率は3.1であるのに対してタイのそれはほぼ半分の1.6と先進国並みに低くなっています。ちなみに日本は1.4です。自ずとフィリピンは労働力の余剰を抱え、タイは労働力不足に陥っています。マニラ1

写真上はマニラ市内のショッピングモールのエスカレーターの様子です。乗降客が数珠つながりの光景は私が子供の頃デパートで見た懐かしさを感じさせます。こうした混雑ぶりは今の日本ではなかなかお目にかかれません。

マニラ2

次の写真は同じショッピングモールの靴売り場です。写っているのはほんの一部ですが陳列棚の靴は全て子供用です。実際、街中で若者や子供たちがやたら目につきます。写真下はマニラ市内の日本のラーメン店で順番待ちをする客の列です。和食ブームはフィリピンだけに限った現象ではないものの人口密度の高さでは世界有数の街のこと、庶民にう受け入れられればはご覧の通りです。

マニラ3

タイでは製造業が行き渡ったことが中間層の厚み形成に貢献し、マーケットとして相応の魅力を持つ国であることに加え、ASEAN地域での地理的優位性やインフラ整備が行き届いている点では進出先として優っています。一方で“伸びしろ”という部分でのフィリピンの潜在能力に対する評価が辛すぎる気がします。加えて、日本からの飛行時間が4時間という利便性、英語が公用語であることによるコミュニケーションの容易さはタイの比ではありません。

数字には表しにくいですが“親日度”という点では互角と言ってもよいのではないでしょうか。両国とも親日国家であることはうれしい限りです。