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第121話 地方創生と地方拠点化強化税制

2015年03月20日 所長の眼

今さらではありますが、日本は2008年を境に人口減少時代に突入しています。喫緊の問題でないにしても、このまま放置されれば経済規模の縮小などを招き国家の維持・存続が危ぶまれる事態を招きかねないとまでいわれています。
ここで昨年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョンについて」の一部を引用します。『今後の人口減少の進み方を見ると、地域別の人口変化のパターンは様々であるが、大きく三段階で見ることができる。「第一段階」は、若年人口は減少するが、老年人口は増加する時期(2010~2040年)、「第二段階」は、若年人口の減少が加速化するとともに、老年人口が維持から微減へと転じる時期(2040~2060年)、「第三段階」は、若年人口の減少が一層加速化し、老年人口も減少していく時期(2060年以降)である。これを2010年~2040年の地域別人口動向(省略)に当てはめると、東京都区部や中核市・特例市は「第一段階」に該当するが、人口5万人以下の地方都市は「第二段階」、過疎地域の市町村は既に「第三段階」に入っている。(引用終わり)』
巷では「限界集落」などという恐ろしい言葉を耳にすることも珍しくありませんが、まさしくこの「第三段階」のことを指しているのでしょう。私も以前このブログで人口減少に対する都市と地方の危機意識の差について書かせていただいたことがあります。
さて、前置きが長くなりました。本来の話に入ります。それはこの度の平成27年度税制改正で新たに創設される「地方拠点化強化税制」の話題です。「地方創生」を念頭に置いたこの制度は企業の地方拠点化を促すため、①投資減税と②雇用促進税制の二つの制度で組み立てられています。

①    投資減税 地域再生法に基づく地方拠点化実施計画(仮称)に添って、支援対象の区域で建物等を取得した場合には特別償却あるいは税額控除を認めるというものです。この場合、例えば東京一極集中の是正につながる地方移転の場合(移転型)、そしてもともとある地方の拠点を拡充する場合(拡充型)に区別され前者により減税効果が及ぶような仕組みになっています。

②    雇用促進税制 この制度は現行の「雇用促進税制」をベースにしたもので、計画に沿って、支援対象の区域の雇用者を増加させた場合に、増加一人当たり30万円~50万円の税額控除を認めるというものです。こちらも「移転型」と「拡充型」に区別され「移転型」により減税効果が及ぶようになっています。

ここ新潟の地元の企業にとっては今回ご紹介したような投資減税や雇用促進税制とは縁が薄いかと思います。また、これらの減税措置だけで大企業にどれほどのインセンティブを与えどれだけの設備や人の地方移転を促すかも未知数です。しかしながら県内の人口減少の状況を目の当りにすると、こうした税制措置や「地方創生」を目的とした他の施策が確実に実を結んでくれることを祈ってやまないのです。