TEL:0120-799-099 受付時間:8:50~17:00 お問い合わせはこちら

更新情報

第187話 廃業か、売却か

2020年11月30日 所長の眼

前回、新潟県内の中小企業の外部事業承継を積極的に支援するために「一般社団法人新潟スモールM&A協会」が設立されたことをお知らせしました。小規模な企業でもM&Aは無理と諦めずに先ずは協会に相談していただけると売却の可能性が見えてくるかもしれません。

仮に、廃業といっても長年お付き合いをしてきた得意先や仕入れ先企業への説明や従業員への解雇通知など、それはそれで丁寧な対応が求められます。また、工場や店舗などの建物については取り壊しの必要が生じる可能性があるなど残余財産の処分そのものに多額の費用がかかることも想定されます。

一方で外部の後継者が会社を買い取ることになれば得意先や仕入れ先には迷惑をかけることはありませんし従業員を解雇する必要もありません。さらにはオーナー自身の退職金支給も会社売却の成立の条件となることもあります。

会社の売却といってもイメージしにくいものです。比較的小規模な企業を売却する時に多く採用される方法を紹介します。

それは株式譲渡による方法と事業を譲渡する方法の二つの方法です。

➀株式譲渡による方法

売りたい会社の株式を買収会社または又はその関係者に売却する方法です。売却した株式により生じるオーナー個人の譲渡益は所得税が課税されます。株式譲渡益に対する課税は他の所得と切り離され約20%の税負担で済むことなり、売手オーナーにとっては税務上のメリットが大きいと思われます。

この場合に注意しなければならないことがあります。それは、売却する会社の株主に名義だけの株主がいる場合は事前の整理が必要ですし、買手からするとその法人が簿外債務を抱えているかどうか気になるところです。簿外債務とは、従業員に対する未払の残業代や税金、取引先を含む周囲とのトラブルや保証債務の問題です。

②事業譲渡による方法

事業譲渡は法人格そのものを売却することはせず、「事業」を買収会社に譲渡するものです。この場合の譲渡対価は事業譲渡する法人に振り込まれるためオーナーがその金銭を直接手にすることはできません。事業譲渡後の会社を清算するのであれば、退職金で受けるか残余財産を法人清算による配当として受けることになります。買手にしてみれば株式譲渡による方式で問題になる簿外債務を引き継ぐ心配がありません。ただこの方法だと取引先との債権債務などの引継ぎなど実務が煩雑になるデメリットもあります。

上の二つの方法以外にも会社分割を利用した方法もありますが今回は基本形をご紹介しました。いずれにしても信頼できる専門家のサポートは必要です。

まずは(一社)新潟スモールM&A協会にお問い合わせください。中央会計も窓口となっています。