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第36話 南タイ 洪水被害

2017年04月11日 バンコク便り

年始より降り続く大雨により、甚大な洪水被害が連日のニュースで報じられている。中部タイでは11月から2月までが乾季であり、年間で最も降雨量の少ない季節だが、南タイの東岸は元より雨季明けの時期が遅く、1月が雨季明けに当たる。

これまでの状況は、36人が死亡、約40万世帯120万人に被害が及んでいる。また1,100校が閉校状態という。政府は内務省災害防止軽減局が中心となり、軍部隊も投入し救助や被害拡大防止に当たっている。また、少なくとも明日1月19日まで降雨は続くということだ。そしてチュムポン、スラートタニ、ナコンシタマラート、パッタルン、ソンクラーの5県では土砂崩れの危険があると注意喚起が発令された。被害額推計は100億~150億バーツ(日本円にして約323億~484億)と言われている。

今回の被害は純粋に大雨による自然災害であるが、元よりタイの国土は低湿地帯が大きな割合を占めており、また歴史的な基幹産業が農業であるということから、各地方都市には「王立灌漑局」の事務所が配されている。バンコクの本局は日本から派遣されるJICA(国際協力機構)専門家等の協力を受け、大局的な調査・報告業務を行っているが、各地方の灌漑局事務所では制度上、洪水の被害予測、通報義務を行うことになっている。しかし今回もその義務を果たしていないために住民被害が拡大してしまったと批判を受けている。日本的に考えれば、気象庁と灌漑局間の連携が出来ていない、つまり縦割り行政の被害、という解釈になるのだろうが、毎日の天気予報を見てもサッパリあてにならないのだから、連携したところで情報も正確ではないのかも知れない。むしろ洪水慣れしている庶民の側がたくましい。水没した自宅の前で、投網にせいを出す若者などはその典型だ。

私の身の周りでも南タイ出身の社員がおり、先週、彼女の実家が被害を受け3歳になる息子さんの面倒を見ている親戚の方が実家へ帰ったことで、母は数日息子さん連れで出勤していた。過去に数度報じた2011年のバンコク大洪水時には皆が階上の駐車場や高架の高速道路に押し掛け駐車し、車の被害を何とか避けたのだが、田舎であればその様な建物も高速道路も無いため、車両は100%水没している。

自然の脅威に常時さらされながら、風にそよぐ葦のごとく柔軟に、しかも強く生き抜く東南アジアの人々に、幸あれ!