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更新情報

第142話 国税庁「国際戦略トータルプラン」

2016年11月22日 所長の眼

さる10月25日付で国税庁は「国際戦略トータルプラン」(サブタイトル:国際課税の取組の現状と今後の方向)を発表しました。『近時のBEPSプロジェクトの進展や、今年4月のいわゆる「パナマ文書」の公開など、富裕層や海外取引のある企業などによる国際的な租税回避行為等に対して、国民の関心が高まっている状況』を背景にして、同庁は国際課税への取組の現状と今後の方向性についてまとめています。同プランの中から今回は租税回避に防止のための情報収集という側面に焦点を当てその内容についてご紹介します。

送金の額が100万円を超える国外への送金・国外からの受領については金融機関から税務署に送金者・受給者の氏名・住所、個人又は法人番号、金額、日付、相手の住所氏名等が記載された調査が提出されることになっていますが、平成26年度実績で提出枚数は643万件と報告されています。

租税条約等に基づく情報交換により課税に必要な情報を国外から入手できるようになっており、この10月現在で66の租税条約等(100ヶ国・地域)が発効し、また平成27年度での情報交換件数は30万5千件に達しています。このように海外に財産を保有していた場合にも、その情報は着々と収集され租税回避に対する包囲網が敷かれつつあることが窺えます。

情報収集と言えば、今後は海外の金融口座情報(氏名・住所・個人番号・法人番号・口座残高、利子配当等の年間受取総額等)の自動的情報交換が始まることにも注目です。

また、多国籍企業に対してはその活動状況と納税実態を把握するため国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルの提出などが義務付けられ、このうちローカルファイルについては中小企業も対象になるなど、国外関連会社との取引がある企業はその取引規模に応じた対応が求められます。この辺りは別の機会に説明させていただきます。

富裕層に関する情報収集機能を強化するため、すでに東京、大阪、名古屋の各国税局に「重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)」が設置されていますが、この富裕層PTについては全国的な実施の検討が進むようです。

このほか、同プランには富裕層や海外取引等に係る税務調査事例などがいくつか紹介されています。プラン全体を通じて国税庁の本気度が伝わってきました。ご興味がある方は国税庁HPでご覧になれます。