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第141話 重加算税

2016年10月26日 所長の眼

今回のテーマは「重加算税」です。国税庁の公表によると平成26年度の法人税申告に係わる過少申告加算税と重加算税の状況は次のとおりで、それによると重加算税の追徴額は過少申告加算税をけっこう上回っていることがわかります。重加算税の税率はそもそも高いことを考えると合点がいくのですが、それにしても重加算税の賦課に応じる企業が思いのほか多いというのが実感です。

過少申告加算税     78億5千3百万円(45,847件)、

重加算税            139億3千2百万円(27,971件)

ご存じのとおり、加算税は税務調査で修正申告や更正処分を受けた際に本来納めるべき税金とは別に追徴されるもので、納税者が法人税などの課税標準や税額などの計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし、又は仮装して申告した場合に課されるもので、最も制裁的意味合いの強い加算税です。正しく税金を納める者とそうでない者とのバランスを取る意味もあります。

対して過少申告加算税は同じ申告義務違反であっても「隠ぺい・仮装」までは至らない軽微なケースといえます。例えば、ご自分の会社に税務調査官による調査で申告税額に不足があることを指摘され修正申告に応じ不足税額を納める際に、果たして「過少申告加算税」が追徴されるのか、あるいは「重加算税」が追徴されるのか、いかにして決まるのでしょうか?これがわかり易く修正税額の大小で決まるのであれば根拠がはっきりするので納得せざるを得ません。しかし、隠ぺい行為や仮装行為があったかどうかが判断の決め手になるのですから、そうそう簡単に結論が出るものではありません。

過少申告に至った「行為」そのものが判断の基準になるということなので、どちらの加算税が追徴されるのかは、明々白々の場合はさておき慎重に判断されるべきものです。そこで、国税庁は重加算税の賦課をする場合の指針として「隠ぺい・仮装」行為を例示しています。ほんの一部ですが紹介します。

・二重帳簿の作成

・帳簿書類の隠匿、虚偽記載として、帳簿書類の破棄又は隠匿、仮装の経理、帳簿不記載などによる収入の脱ろう又は棚卸資産の除外

・書類の改ざんなど

・その他

このように、「事実を隠ぺい」あるいは「事実を仮装する」ということの比較的分かり易い行為の例示となっています。しかし実務では隠ぺい又は仮装する行為であったかどうかが明確に判断できるこのようなケースばかりとは限らず、その判断を巡り税務署側と納税者側の主張がくい違うことはしばしばです。

納税者の計算ミスや誤解で過少申告に陥ってしまうようなケースはよくあることですが、こうした行為でも捉える側の立場の違いで導き出す結論は自ずと違ってくるものです。「隠ぺい」あるいは「仮装」であるかどうかは納税者自身が一番よくわかっていること。誤解が生じているのであれば税務代理の税理士を介するなどしてそれを解くのもご自身です。