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第138話 スマホで領収証を保存? ~加速する電子化の波~

2016年07月26日 所長の眼

あらゆる事務作業がコンピューターで処理されるようになりましたが、なかでも経理事務はその最たるもの。こうした流れを背景に1998年には帳簿の電子的な保存が認められ、その後書類などのスキャナ保存が可能になるなど時代の進歩に呼応し紙ベースによる帳簿書類等の保存からの規制緩和が進んできました。中でも特に昨年から今年にかけての緩和の動きには目を見張るものがあります。そこで今回は利用するかしないかは別にして、どこまで規制が緩やかになったのかをご紹介します。

今回ご紹介するあらたな制度により“スマホなどによる領収書の記録”が可能になるという話題です。簡単に言えばお手持ちのスマホでレシートを写真撮影し保存することが認められるようになるということ。時期としては来年1月1日以降に受領した領収書等についてスマホやデジカメによる記録が可能になります。ただし、事前の申請手続きは必要です。

さらに利用するには不正防止のための次の3つの要件をクリアする必要があります。

①例えばレーシーとであれば自ら受領したそれに自署(サイン)してから写真に撮るかスキャンします。

②のファイルにタイムスタンプを3日以内に付します。

③そのうえ適正事務処理要件を満たすことが必要です。

まず、①の領収証などを受領した者が署名しなければならいのは領収書の使いまわしや改ざんを防止するための措置です。

次に②の“タイムスタンプ”ですが、これは認定を受けたタイムスタンプ業者によって保存しようとしている電子ファイルが確かに存在し以後改ざんされていないという事実を証明してもらうためのものです。これはインターネットを経由で利用しますからその環境が必要となります。

3つ目の要件“適正事務処理”は、不正防止や誤りを防ぐための内部けん制の構築を促すものです。原則は①や②のとおり領収書等に署名しタイムスタンプを付す役割と上長などによる記録事項を確認する役割、さらに定期検査を行う役割の3者によるけん制システムがなければなりません。ただし、小規模事業者の場合には定期検査を税理士などに依頼することでその要件は不問になります。

さあ、いかがでしょうか?慣れない方にとっては従来通り領収書などは紙で保存したいと思われることでしょう。しかし、社内文書の電子化がコスト削減に貢献したり、商取引の書類のやり取りなども加速度的に電子データ化が進んでいくことを考え合わせると、無関心を決め込むのは賛成できません